
「芝居のことはお互いにぶつけ合う」
これらの声に象徴されるように、「蝶の道行」は映画の余韻を生の舞台で体感できる絶好の機会となっており、「国宝」をきっかけに歌舞伎に興味を持った観客たちが実際に歌舞伎座に足を運ぶことにもつながっているようだ。
そんな“染團コンビ”は8月の「八月納涼歌舞伎」第二部「火の鳥」でも再共演が予定されている。7月7日の取材会では、團子が染五郎について「赤裸々に自分の思いを伝え合うコミュニケーションを取っている」と言えば、染五郎が「お芝居のことはお互いにぶつけ合っています」と語るなど、劇中での“東半コンビ”さながらの掛け合いを見せる場面も見られた。
「SNSでは『映画で感動して、そのまま染團を観に行った』という書き込みも目立ちます。『国宝』で描かれた才能と境遇、努力と嫉妬、全てを飲み込んで舞台に立つ喜久雄と俊介の姿に重ねたことで、余計に胸を打たれたのでしょう。映画と歌舞伎の相乗効果によって、新しいエンタメ循環が生まれていると感じます」(スポーツ紙芸能記者)
“染團コンビ”は、令和の歌舞伎界に新たな風を吹き込み、未来の「国宝」としてその名を刻む日も遠くないかもしれない。
(泉康一)
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