
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:人と仲良くなるのが苦手です。初対面の人と他愛のない話をするのはいいのですが、友だちや恋人など壁を一つ越えた先の関係になるのが苦手で、いつまでも敬語を崩せず、一人でいるほうが楽に感じます。上手く人と付き合える人を見ていると、孤独感や情けなさに襲われ、自分が人としてできそこないに感じます。どうすれば人と仲良くなり、良好な関係を築けるでしょうか。(女性/公務員/24歳/しし座)
A:うまく人と付き合うことができないコンプレックス、すごく共感します。僕は就職活動で内定をもらったことがなく、就活がうまい人に対してコンプレックスを抱いていました。あるとき就活が異様にうまい友だちに相談したら平然と「相手が望んでいることを答えればいいだけ」と言われました。どうやってもまねできなくて、そのコンプレックスを抱えた状態で占い師になったんですが、あることに気づきました。
僕の場合、占い師としてならお客さんとすんなり仲良くなれたんです。プライベートだと自分の人柄や話題の豊富さみたいなところで勝負するしかないけれど、仕事の場なら占いの腕に満足してもらえる限り必要としてもらえます。そういう関係が僕にとっては気軽で、その「気軽さ」が人と仲良くなることにおいて大事だと気づいたんです。
気軽さとはつまり、ちょっと言葉が悪いですが「どうでもいい」という感覚です。
それを念頭に置いて周りを見回してみてほしいんですが、すぐ人と仲良くなる人って、あんまり人の話を聞いていません。適当に相手に話題を振って、聞いているフリをしているだけ。その技術は天性のものですよね。
では、僕やあなたのようなタイプはどうやってその感覚を身につければいいのか。おすすめは、おばさんやおじさんと仲良くなることです。渋い居酒屋の常連になるのもいいと思います。何度か通うと、注文を頼む時や会計の時に、お店のおじちゃんおばちゃんが気軽に愚痴とかしゃべってくれるようになります。
人間、年を取ると、体力の低下とともに対人関係におけるバリアの力が下がります。若い時にありがちな人と向き合うことの緊張感が、年とともになくなっているから、おじさんおばさんは「どうでもいい会話」を楽しめる最適な相手なんですよね。その感覚が身につくと、同世代と話す時にも「気軽さ」がにじみ出てくるはずです。
誠実で優しくてまじめな人は、人と仲良くなることにも真剣になりすぎてしまいますが、世の中の真理として「どうでもいい感じ」を持っている人のほうが人と仲良くなることには強いです。
しし座は一対一で真剣に人と向き合いたい気持ちが強い人。どこかでその正反対の感覚を身につけておくと、生涯使える武器になりますよ。
※AERA 2025年8月11日-8月18日合併号
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