
2025年4月から琉球大学学長に就任した喜納育江学長。沖縄にある総合大学として「地域とともに豊かな未来社会をデザインする大学」「アジア・太平洋地域の卓越した教育研究拠点となる大学」を長期ビジョンとして掲げる。緑豊かな広大なキャンパスで多彩な学生が学んでいる。
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ーー琉球大学初の女性学長に就任されましたが、実現したい施策はありますか?
喜納育江(以下、喜納) まずは喫緊の課題への対応が求められています。志願者数が減少する中での学生確保、広報の重要性も高まっています。その上で、琉球大学は歴史的にも海外との交流が盛んでしたから、学生には国際感覚を養ってほしいと考えています。本学には現在、約270人の留学生が在籍し、特に中国や台湾との交流が盛んです。加えて、南米やハワイなどに根づいている沖縄系移民との強いネットワークを生かし、国際的な教育ができればと思います。
多様な人々と共に進む
ーー学長になられた経緯は?
喜納 これまで本学が採択された文部科学省の女性研究者支援やダイバーシティ推進事業などに携わってきました。そうした中で、「女性として学長に立候補してほしい」と同僚に後押しされ、決意しました。ヒエラルキーのトップではなく、多様な人々と共に進むヘテラルキー型のリーダーであれば自分にもできるのではないかと思いました。
ーー沖縄県の国立大学として女子の高等教育についての役割や使命は?
喜納 将来のリーダーとしての自覚と自信を持ってほしいと考えています。大学はロールモデルを示すことで、リーダーの責務にひるまない女性の育成を目指しています。近年はスタートアップやアントレプレナーシップなど新たなキャリアにも対応できる教育にも力を入れており、教員、公務員だけでなく、社会の多様な分野で未来を支える女性リーダーを輩出したいです。
ーー琉球大学には、ボディシェアリングという非常に先進的な研究をされている玉城絵美教授(工学部工学科知能情報コース)のような女性研究者もいます。
喜納 玉城先生のような理工系分野で活躍する女性ロールモデルの存在は、学生にとって大きな希望と道しるべになります。先生が琉球大学に来てくださったことに非常に感謝していますし、ロールモデルの重要性をあらためて実感しています。