毎年、6月中旬以降に行われる小学校のプール開き。気温の上昇や指導スタイルの変化とともに、水泳の授業も変わってきているそう。大阪の公立小学校の現役教師・松下隼司先生に、水泳指導や授業の変化について教えてもらいました。
【写真】水泳授業の指導で使われているハンドサインはこちら(全6種)水泳の授業、3つの変化
大阪の公立小学校教諭の松下隼司と申します。教員歴は今年23年目で、2児の父です。
私が小学生だった昭和、教師になった平成、そして今の令和では、水泳指導が大きく変化しています。特に変化したと思う3つのことがあります。
(1)水分補給
最近の水泳指導の変化としてはまず、子どもたちに水筒を持たせるようになったことです。プールサイドに水筒を置き、途中で水分補給タイムをとるようになりました。熱中症対策のためです。昭和や平成のはじめのころは、「プールの時間は、水の中にいるから、水分補給なんていらんやろ」という感覚でした。しかし今では、「冷たい水の中にいても、汗をかく。しかも炎天下の元、肌をたくさん露出しているから、むしろ水分補給が重要」という感覚に変わりました。
(2)紫外線対策
また、紫外線への意識も変わってきました。私が子どものころや若手教師だったころは、水泳シーズンは、日焼けで肌の色が変わることをまわりと競っていました。夏休みのプール開放も毎日、参加していました。夏休み明けの2学期に、日焼けした顔や腕を見せ合って、より日に焼けたほうが勝ち誇っていました。でも、紫外線の肌への負担が知られるようになり、そのつけが年をとってから、顔のシミに現れるようになりました……。
紫外線防御対策として、ラッシュガードを着て水泳の授業に参加する子どもも年々、増えているように感じます。以前は、「ラッシュガードなんて着たら、水を含んで泳ぎにくいのに……」と批判的に思っていましたが、今は「私も若いころからもっと紫外線の怖さを知って、予防・対策をしていたらよかった!」と思うようになりました。
(3)水着の形
3つ目の変化は、水着の形です。昔に比べて、水着の裾が長くなっていると感じます。昨年度まで小学生だった長男の水着は、太ももの真ん中あたりまで水着の裾があります。ボクサーパンツのような水着です。
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