そこで、プール開放が始まる前の普段の講堂での体育の授業で、エアプール指導をしています。講堂のフロア中央に4つのコーンを置いて、「この4つのコーンの中がプールの水とします。みんなが今、座っているところがプールサイドだとします。今から、プールサイドの並ぶ場所を確認しよう。そしたら、プールに入れる時間が長くなるからうれしいよね」と、シミュレーションするのです。指導の時間は、5分ほどです。

 このときに、ハンドサインを用いた入水するシミュレーションもします。学校によって違いはあるかと思いますが、水泳の授業の時間、最初に子どもを水に入れるときは、指導者はハンドサインで少しずつ段階をふんで子どもたちを水の中に入れます。いきなり全身を入水させると危険だからです。次は、ハンドサインの手順の一例です。

「1(人差し指を立てて見せる)」…プールサイドに立つ。

「2(人差し指・中指を立てて見せる)」…プールサイドにしゃがむ。

「3(人差し指・中指・薬指を立てて見せる)」…自分の足、頭、胸に水をかける。

「4(人差し指・中指・薬指・小指を立てて見せる)」…後ろを向いてしゃがむ。

「5(5本の指を立てて見せる)」…右足を水に入れる。

「6(両手を使って6本の指を立てて見せる)」…左足を水に入れる。

松下先生が授業で取り入れているハンドサイン
松下先生が授業で取り入れているハンドサイン ※学校によって異なります
松下先生が授業で取り入れているハンドサイン
松下先生が授業で取り入れているハンドサイン ※学校によって異なります

 このハンドサインも、事前に講堂や教室で指導しておくことで、プール開放当日がスムーズに進みます。指導者が長々と説明したり、大きな声で叱ったり、やり直しさせたりすることがなくなり、楽しいプール開放になるのです。

(文/松下隼司)

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松下隼司
松下隼司

1978年生まれ。奈良教育大学卒業。大阪の公立小学校に勤める現役教師。2児の父親。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年版教科書編集委員を務める。著書に絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)、『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』(フォーラムA企画)などがある。教師向けの情報サイト「みんなの教育技術」で連載を持つほか、Voicy「しくじり先生の『今日の失敗』」でパーソナリティーを務める。

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