
「茹でガエル」の危機
ウッドラフさんは1960年代に、安い賃金で移民労働者をこき使うぶどう農場主に対抗して、賃上げ運動に参加した経験がある。
「共和党員たちからぶどうを投げつけられたのを覚えてるよ」と語る。
90歳を超えた今は杖をついてトランプ政権の不法移民大量逮捕に反対する。
「そもそもここは先住民の土地。ネイティブアメリカンから土地を盗んで住みながら、後から来た人を不法移民呼ばわりするのはおかしいよ」と語る。
また「傍観していると殺される」と書かれたサインを持っていたのは60代のホーリー・シャーマンさんだ。

鍋の中の湯に浸かり火で茹でられて上機嫌のカエルのイラストが添えられている。
「移民排除は自分には関係ないと傍観を決め込んでいると火の粉はいつか自分に降りかかる。その時に気づいても遅い」とシャーマンさんは言う。
シャーマンさんの事業で働く移民のスタッフたちは、合法のビザを持っていても、怖がってデモには決して参加しないという。
「移民の友人たちは恐怖を感じて外出すら控えるようになった。いまやICEが街のどこにでも出没してるから」
今回のサンタモニカのデモの参加者の過半数が白人だった。中には「白人異性愛者の男性がデモに参加するぐらいだから事態は相当悪いってことさ」というサインを持つ男性もいた。
シャーマンさんの友人のナン・ブネルさんは、母親と子どもを引き離すICEの拘束現場映像は、トランプ支持者の目にもかなり「非情」に映るのではないかと言う。
特に幼い子どもが泣いて親を探し回る映像を見て「自分がこれを心から支持していると他人に思われるのは人道上まずいな」とトランプ支持者が居心地悪く感じて、中間選挙で密かに民主党に投票してくれることを願うと語った。