筆者が注目しているのは、今春に視察したマレーシアの首都、クアラルンプール。個人的には“ネクスト香港”だと感じています。
クアラルンプールの高級コンドミニアム市場は、利回り5%前後が当たり前です。都心一等地でも、3000万~4000万円でプール付きの高級コンドミニアムが手に入ります(ちなみに、新築や築浅ではシンガポールのマリーナベイ・サンズのような“インフィニティ・プール”がデフォルトです)。
現地の新築コンドミニアムは完成までに数年かかり、資金集めをしながら建築するのが一般的です。そのため、完成前に購入すると割安な価格で購入でき、完成に近づくと徐々に価格が上がるという値動きをします。
また、日本よりも遥かに賃借人よりもオーナーが強い文化であり、賃貸運用もしやすい特徴があります。節税には全くなりませんが、「実需・移住視点」での合理的選択ができる市場でもあります。
タワマンは頭打ちで
“出口戦略”の時代へ
富裕層にとってのタワマンは、2024年の「タワマン節税封じ込め(タワマン以外のマンションも含む)」以来、節税商品としての魅力が減少しました。
そして日銀のタカ派姿勢が継続するのであれば、日本も1%程度の金利上昇が視野に入ります。13年間で3倍になったタワマン価格は、「金利上昇・国際的に見た割高感・節税効果の縮小」によって頭打ちを迎えるのではないでしょうか。
もちろん居住目的の方は気にする必要はないでしょう。しかし投資目的や値上がり益目的としての都内タワマンは、相当微妙な投資対象と言わざるを得ません。
次に選ばれるのは、物件そのものの魅力はもちろんのこと、「割安」「利回り」を兼ね備えたどこかの国の不動産でしょうが、まだその答えは見えません。
しかし、富裕層が都心やハワイでは静かに出口に向かい始めた今、私たちも“次の一手”を考えるときが来ているのではないでしょうか。
(アレース・ファミリーオフィス代表取締役:江幡吉昭)
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