トランプ氏の任期が2029年まで。仮に次の大統領も共和党で、類似政策を取ればもうプラス4年。つまり、2030年代に入ってもなお、このような脱・新自由主義的な流れがしばらく続くことになるであろう、と考えています。

 アベノミクス以降に起こったことはもう過去の話、と割り切るべきなのです。

 事実、日本も長年続いたゼロ金利の時代からインフレ圧力が高まっています。日本国内での借入金利上昇 → 住宅ローン負担増 → 価格調整圧力増という構図は、そろそろ現実味を帯びてきそうです。

 現在の政策金利(無担保コール翌日物金利)は0.5%ですが、将来的には1%、場合によっては1.5%程度までは念のため予測しておきたいところです。

金利が上がると
不動産価格はどうなる?

 2025年5月、日本の30年国債利回りは一時2.9%台を記録。これは5年前の約6倍にもなっています。長期固定の住宅ローン金利の水準もコロナ禍をボトムに上昇しており、実需層・投資家層の購入マインドも冷え込む段階に入っているのではないでしょうか。

 では、将来の金利上昇は不動産市場に対して、具体的にどのような影響を与えるのでしょうか。

 今回はわかりやすさを重視して、「収益還元法」で説明したいと思います。

 仮に、家賃収入から管理費などの費用を差し引いた不動産投資の純収益に当たるNOI(ネット・オペレーティング・インカム)が300万円/年とします。

 不動産投資において、不動産価格は、以下の計算式で求めることができます。

不動産価格=NOI÷還元利回り

 現在の還元利回りが3.0%だとすると、不動産の価格は1億円(300万円÷3%)と計算できます。

 もし金利上昇に伴い、将来の還元利回りが4.0%と、1%上昇すると、不動産価格は7500万円(300万円÷4%)となります。1%の利回り上昇で25%近い価格調整余地が出てくることになるのです。

 もちろん家賃の上昇でNOIが増えれば、利回り上昇の影響を相殺する場合もあり得るものの、この「金利の1%」が不動産価格に与える影響は侮れないと実感していただけると思います。

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