2025年度に男性育休取得率100%を目指すNEC。24年10月、制度を大幅に改訂し、1か月以上の男性育休取得推進を打ち出しました。どのように取り組みを進めているのか、エンプロイーリレーション統括部三原誠広さんと三戸美優さんに聞きました。

MENU “育休計画シート”提出で、出産準備用手当10万円を支給 「育休から戻ったら元通りに働けるんだよね」という“思い込み” 人材獲得競争力、チーム力の向上にも期待

“育休計画シート”提出で、出産準備用手当10万円を支給

——男性育休を促進するために、昨年10月に新しい施策をスタートさせました。どのような取り組みですか?

 男性育休については、以前から少しずつ取り組んでいました。しかし、7:3くらいで男性社員の比率が多い当社では、女性社員の妊娠・出産にくらべ、男性社員のパートナーの妊娠・出産となると、なかなか会社が事前に把握できず、育休取得のアプローチが難しいことが長年の課題でした。そのため、2024年10月に制度を大幅に改定し、産前から産後、さらには復帰後までの包括的なサポートの“パッケージ化”をはかりました。

 まず産前の段階から、“育休計画シート”というツールを導入し、育休をいつ、どのくらい取るのかパートナーと相談したうえで、上司との面談を通して計画してもらうことにしました。シートを会社に提出した社員には、“産前ペアレント・ファンド”と呼ばれる10万円の出産準備用手当を支給し、より取得をうながす工夫をしています。

 また、パートナーの出産時に利用できる有給10日間の“配偶者出産休暇”を新設し、出産直後のサポート体制も強化しました。これまでは特に定めていなかった男性育休の推奨期間も、会社方針として1か月以上と明確に打ち出しました。

 2024年度の当社の男性育休取得率は50.6%、平均取得日数は78.9日。育児目的の休暇も含めた「育児休職等の取得率」では83.8%に達しました。2025年度には男性育休等の取得率100%を目指しています。

——“育休計画シート”とは具体的にどのようなものですか。

 出産予定日や育休の取得予定期間、家事・育児に関するパートナーの要望などを記入してもらうシートで、他社事例を参考に取り入れました。特に育休取得期間については、会社が1か月以上の取得を推進しているため、「取得予定期間が1か月未満、または取得しない場合は理由を入力してください」とあえて明記しています。

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