女性社員の場合、職場復帰後は時短勤務を選択する方が多く、働き方の変化に周囲の理解もありますが、男性の場合、「育休から戻ってきたらまた元通りに働けるんだよね」というバイアス(思い込み)が、本人にも上司や周囲のメンバーにも存在するケースが少なくありません。当然ですが、育児はずっと続くもので、男性も関わっていくべきもの。「保育園のお迎えは私が担当するので今後は残業が難しくなります」といった働くうえでの制約などを、ちゃんと上司を含めたチーム間で共有してもらいたいと、シートを導入しています。

人材獲得競争力、チーム力の向上にも期待

——男性育休促進が企業にもたらす価値とは?

 多様な人材が様々なニーズを抱えながらも活躍できる会社を目指すうえで、男性育休はインクルージョン&ダイバーシティのなかでも取り組むべき重要な課題のひとつだと考えています。最近では社会でも男性育休取得の意識が高まり、就活中の学生にとっても企業を選ぶ重要な基準になってきています。この取り組みは、必ず人材獲得競争力に直結すると感じています。

 組織や個人の成長機会という側面にも注目しています。育休でメンバーが一時的に不在となっても、残りのメンバー一人ひとりが業務幅を広げて新しい仕事にチャレンジすることで、チーム力を高める機会にもなるはず。

 育児参画を通じた社員の幸福度向上のためにも、長期的な企業競争力強化のためにも、男性育休を“当たり前の文化”として定着させていきたいですね。

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 社員の子育てを応援したり、育児休業取得促進に向けユニークな取り組みをしていたり――。編集部員が実際に企業を訪問し、子育てをしやすい職場、パパママにやさしい職場とは何かを考えていくAERA with Kids+の連載「編集部・平井が行く! 子育てしやすい会社って?」。第5回は「NEC」を紹介しました。次回もお楽しみに!

(取材/AERA with Kids+編集部 構成/中村茉莉花)

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