ランドセルは日本特有のものと思っていませんか? 実はヨーロッパの一部の国、特にドイツやオーストリアでもランドセルが使われています。同じ「ランドセル」と呼ばれるものでも共通点もあれば違いもあるのがおもしろいところ。オーストリアの首都・ウィーン在住のライター、御影実さんが現地の学用品事情をレポートします。

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個性豊かなオーストリアのランドセル

 日本とは教育や育児に関する考え方やスタイルが異なるヨーロッパ。中欧の古都ウィーンで、中学生、小学生と幼稚園児の3人の子供たちを育てていく中で、少しずつこの国の教育の仕組みや背景への理解が広がり、海外で育児する楽しさや面白さを実感しています。

 ウィーンの学校や子供たちの生活は、日本との違いも大きいですが、意外なところに共通点もあります。今回は、学校生活の中でも身近な、学用品や文房具についてご紹介していきます。

 9月に新学期が始まるウィーンでは、ランドセル商戦は春のイースターシーズンに到来します。私には今年9月に小学生になる娘がいますが、イースター前にランドセルを用意することができ、ホッと一息つきました。これから半年かけて、新学期に必要な文房具を揃えていきます。

ウィーンの文房具店の学校用品売り場。上にカラフルなランドセル、その下は文房具、ノート類、お道具箱等様々なデザインがずらっと並んでいます

「オーストリアにも日本のようなランドセルはあるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、オーストリアやドイツでは、外見こそカラフルで個性的なデザインが多いですが、機能や形状は日本のものと同じランドセルがあります。

 オランダ語の「ランセル」(革製の四角い背負いカバン)が日本語のランドセルの語源となったのですが、ドイツ語圏の小学生が背負っている通学リュックは、「学校用ランセル」「学校用カバン」を意味する「シュールランツェン」や「シュールタッシェ」と呼ばれています。

 オーストリアのランドセルも、以前は日本のように革製だったのですが、現在はビニール素材で、色や絵柄もバリエーション豊富です。男の子用にはサッカーボールや恐竜、人気のアニメキャラやスーパーヒーローが、女の子用にはユニコーンやディズニーキャラ、かわいい動物柄などが人気です。

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御影実
オーストリア・ウィーン在住ライター・ジャーナリスト 御影実

2004年よりオーストリア・ウィーン在住。国際機関勤務を経て、2011年より輸出輸入業の傍ら、オーストリアの社会、歴史、文化、時事関連の寄稿や監修、ラジオ出演や取材協力を行う。掲載媒体は、「サライ.jp」(小学館)、『るるぶ』(JTBパブリッシング)、『ハプスブルク事典』(丸善出版)等。中学生、小学生、幼稚園児の3児のバイリンガル育児中。世界 100 カ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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