毎朝、ぎっしりと荷物の詰まったランドセルを背負って登校する小学生たち。「こんなに重いものを背負うのはかわいそう」と感じるパパ・ママも少なくないでしょう。近年は軽くて男女問わず使える「ランドセル型リュック」が続々登場し、新小学1年生に独自の通学用リュックを無償配布する自治体もでてきました。“脱ランドセル”の動きは広まるのか。専門家や自治体に聞きました。

MENU “置き勉OK”になってもランドセルは重いまま 重さが問題視される中「ランドセル型リュック」が台頭  独自の通学用かばんが定着している地域も 新1年生に無償配布する自治体も

“置き勉OK”になってもランドセルは重いまま

 ランドセルがどんどん重くなっています。学用品メーカー「フットマーク」(本社:東京都墨田区)が今春、小学1~3年生とその保護者を対象に行った調査によると、荷物を入れたランドセルの重さは平均4.13kg。昨年から150g減ったものの、「重い」と感じているのは全体の91.4%に達しました。

 子どもの消費ビジネスに詳しい大正大学の白土健教授は、「学習指導要領の改訂で学習量が増え、教科書はより大きく、重くなっています。さらにタブレットや、コロナ禍の衛生対策としての水筒、絵の具や習字セット、図書室で借りた本……。とくに体の小さい低学年の子にとっては、これだけの荷物は重すぎます」と言います。

 重い荷物を背負い続けると、心配なのが“ランドセル症候群”です。

「肩こりや腰痛のほか、“通学ブルー”になるなど、心身にさまざまな症状が起こります。日本医師会もその危険性を指摘しています」(白土教授)

 文部科学省も現状を問題視し、2018年には教科書を学校に置いて帰る“置き勉”を推奨していますが、現実はすべて持ち帰る児童も多いといいます。

重さが問題視される中「ランドセル型リュック」が台頭 

 軽量化のニーズが高まるにつれ、近年台頭してきたのが、軽い通学用リュックです。「ランドセル型リュック」などと呼ばれ、新しい選択肢として定着しつつあります。

「ランドセルが牛革素材で、男の子は黒、女の子は赤だった時代と比べると、今はカラーバリエーションも豊富になり、素材も人工皮革からナイロンやポリエステルまで、軽量のものが増えています」(同)

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中村茉莉花
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