
僕みたいにエンタメのなかで生きている人間のキャラクターとしては、なかなか想像できないかもしれませんけど、誰しもが持っている怒りだとは思いますね。美談にするつもりはないですけど、例えば[SUPER EIGHTの]メンバーが傷つけられたとしたら、僕も『おい、ちょっと待て』とはなるでしょうしね」
生き様を通して届ける
SUPER BEAVERが書き下ろした主題歌「まなざし」が流れるラストシーンも印象的だ。ギターの柳沢亮太は楽曲提供にあたり「見たくないもの、見せたくないものが蔓延る今日だとしても、見せてあげたい美しさもまた、確かに存在する」とコメントしているが、丸山が感じる「見せてあげたい美しさ」は?
「どんな生き方も……どんな結末であれ、やり抜いたことが、美しいと思いますね。
例えばファンの人にだったら、アイドルとしての僕の生き様かな? EIGHTとしての生き様とか、俳優としての生き様とか。僕が見せられるものっていうのは、活動を通じてだと思うから。何かを燃やして、何かを削って、やっている自分の姿でしか表現できないことを、届けられたらなと思っています。
メディアに出ている限りは、いいも悪いも、すべて報道される。ちょっとお高めのスーパーでシャンパンを買っていたら、『アイドルだって飲みたい夜もある』ってタイトルで書かれたこともあるし(笑)。どうでもいい記事も書かれるような仕事だからこそ、人それぞれがひとつの作品だと思うんです。極力、悪いもの、汚いものを見せないように、っていうのがアイドルとしての仕事ではあるんですけど、今回のような映画で、僕という人間を通して、届けられる、見せられるものもある。そういう意味ではすごくお得な職業をさせてもらってるな、って(笑)。音楽もやって、お芝居もやって、歌もやって、踊りもやって……僕に届けられるものは、たくさんあるんじゃないかなと思います」
(編集部・伏見美雪)
【後編はこちら】丸山隆平「優しい世界忘れてません?」 メディアやSNSでの“叩き方”を考える機会に
※AERA 2025年5月5日-5月12日合併号より抜粋