
GWが明け、5月中旬は日本企業の決算発表が集中するシーズン。「決算書、今年は読めるようになりたい……」という人のために、読み方の基礎の基礎を、「おそろしいほど、わかりやすい!」と人気の佐伯良隆著『決算書「分析」超入門2025』から一部、抜粋してお届けします。
※【前編】<【3分でわかる】決算書って何? 分析のプロが教える、一瞬でイメージできる「売上」と「利益」>から続く
会社の「財産」と「元手」をまとめた「貸借対照表」
2つ目の表は、「貸借対照表」です。
貸借対照表には、「財産(=現金や原材料、土地、建物などの資産額)」と、それらを入手するためにかかった「元手(=銀行からの借入金や資本金など)」が記されています。
さて、先ほど、損益計算書からは会社の運動量やムダな動き、運動の成果がわかると説明しました。これに対し、貸借対照表からは、会社の体つき(財産)と、それを支える骨格(元手)がどうなっているかがわかります。
例えば、同じ身長、同じ体重の2人の男性がいるとします。しかし中身をのぞいてみると、筋肉や脂肪の量、骨の太さがまったく違っているかもしれません。
貸借対照表は、そんな外からはみえない会社の体の内部や健康状態をCTスキャンのように正確に教えてくれるものです。2章で詳しく述べますが、実際の貸借対照表は、「資産」「負債」「純資産」の3つの項目で示されています。
資産とは、いわば会社の財産です。一方、負債と純資産は、財産を手に入れるための元手にあたり、負債は銀行などに借りたお金、純資産は返さなくてよいお金と大まかに言うことができます。
まずは、これらの関係をあらわした次の式だけ頭に入れておけばOKです。

このように貸借対照表は、資産という体つき(筋肉や脂肪)を、負債や純資産という骨格が支えている構図になっています。
P/LとB/Sを組み合わせてみると事業の“効率性”がわかる
貸借対照表は、損益計算書とあわせて読めば、会社のもつ実力をさらに正確につかむことができます。詳しくは3~5章で解説するので、ここではさわりのみ紹介します。
例えば、競泳のタイム(成績)がまったく同じAとBがいるとします。一見、どちらも同じ実力に思えますが、Aが身長180cm体重80㎏の立派な体格をした大人であるのに対し、Bが身長150cm体重40㎏の子どもだったとしたら、いかがでしょうか。Bのほうが、体を効率的に使って結果を出しているといえそうですよね。
このように、損益計算書(成績)と貸借対照表(体つき)をセットで見比べれば、その会社の経営の効率性、ひいてはどれくらいのポテンシャル(伸びしろ)があるかといったことも予測できるようになるのです。
※【後編】<【3分でわかる】決算書の「キャッシュフロー」って何? 分析のプロが教える、この数字が超大切な理由>に続く
