賃上げの効果で、大手企業の平均年収は上がっている(写真映像部 佐藤創紀)
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 大手企業の平均年収が上がっている。東京商工リサーチの調べでは、平均年収が1千万円の大台を突破するのは86社となった。どんな業種、どんな企業がランクインしているのか。

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 東京商工リサーチが2023年度(23年4月期~24年3月期)の上場企業3229社(純粋持ち株会社を除く)を調べたところ、従業員の平均年収は633万7千円(中央値は609万9千円)だった。2010年度以降で過去最高だった前年の620万9千円を10万円以上も上回った。

 1位は企業のM&A(合併・統合)仲介を行うM&Aキャピタルパートナーズ。平均年収は2478万円で10年連続でトップだった。同社は未上場のオーナー企業を中心に、中堅・中小企業をメインターゲットに事業承継に伴うM&Aなどで業績を伸ばしてきた。

 同社の有価証券報告書によると、従業員は244人で平均年齢は32.2歳と若い。M&Aには財務、法務、会計・税務などの専門知識のほか、交渉力やコミュニケーション力、リスクマネジメント能力など幅広いスキルが求められる。このため、好待遇で優秀な人材を惹きつけている。

 実は前年の平均年収は3161万円と3千万円を超えていた。前年比でみると、今回は大きく下がったように見えるが、同社の場合、業績が給与や賞与に反映されやすい。前年は大型案件の成約があったため、今回はその反動とみられる。

 2位には2090万円だった三菱商事が入った。前年比151万円増で大幅アップ。初の2千万円台となった。大手商社は5位に三井物産(1899万円)、6位に住友商事(1758万円)、7位に伊藤忠商事(1753万円)と、大手商社4社がトップ10入り。三菱商事に加え、3社も前年比プラスだった。

 丸紅も1654万円で11位に入るなど、大手商社は軒並み平均年収が上がっている。背景にあるのは好調を維持している業績だ。24年3月期では三井物産の純利益は1兆円超え。三菱商事も9600億円の黒字だ。業績連動で一時金が伸びていることに加え、基本給の上昇(ベースアップ)も実施し、人材獲得競争に余念がない。

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