
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:50代半ばを過ぎて、失言やキツい物言いが増えてしまったような気がしています。以前なら思いついたたくさんのオブラートが瞬時には出てこなくなり、結果思ったことそのままの言葉が口から出ているようです。定年まであと数年、失言を重ね周りの人を傷つけそうで悩んでいます。何か対策はありますか。(女性/会社員/57歳/おとめ座)
A:そもそもの話として、人は、自分の部屋から外の世界に出ていくときに、何らかの努力をして生きている人がほとんどだと思います。すべての場面で、ありのままの自分でいるのって、難しいこと。僕自身このご相談にとても共感しました。というのは、僕もすごく不用意なことを言ってしまうタイプの人間だからです。言わなくてもいい毒舌をかっこつけで言う癖があるんですよね(笑)。だからそれが飛び出してしまわないように、余計な一言を言わないように意識しています。
人ってそういうふうにブレーキをかけたり、暴走しすぎないように注意したりしながら暮らしていますが、「対人関係の努力」はフタが一番外れやすいところでもあるように思います。
それがなぜなのか、まだ僕の中でもわからないところがあるんですけど、対人関係において嫌われないようにしようとか、目をつけられないようにしようみたいな努力は、思っている以上に本人に負担がかかるのだと思います。だから、その嫌われないように、悪目立ちしないようにという努力を続けると、どこかで暴発が起きてしまう。そんな印象があります。
だからこそ、対人関係での努力をどこまでするべきかは一人ひとりがちゃんと考えておいたほうがいいです。
おすすめは人間関係のルールを作ること。仕事だと「私はこういうルールを決めているので従ってください」というのはなかなか難しいので、まずプライベートでルールを決めるのがいいと思います。
例えば、人に会うのが疲れてきたなと感じるなら、「週に3人以上と会わないようにする」とか。僕の場合は「LINEは即レスしない」ルールを設けています。申し訳ないけど、付き合いが悪いやつキャラとして認知してもらうことにしました。仕事以外では即レスの負担から離れて、その分、身近な人たちを大事にしたいと思うようになったのです。昔のルールのままで付き合っていくと、どこかで暴発が起きて急に「もう誰とも会いたくない」みたいになることもあります。実際僕もそういう経験をしました。
おとめ座は、すれすれゾーンを攻めるのが好きな人たちです。「聞く人が聞いたら失礼だけど、この人は気づかないだろうから攻めてみよう」みたいに。定年まであと数年だし言いたいこと言っておこうみたいな、復讐の意識もあるのかも。無責任なことをいうようですが、そういう人も組織には必要ですし、ある程度は許されると思いますよ。
※AERA 2025年3月31日号