――敵なしの独走状態にありながら、自身にフォーカスして向上していくさまが井上尚弥選手と重なって見えるところがあるのですが、吉成選手は井上選手をどう見ていますか。
世界を舞台に活躍して、世界からも認められるスーパーアスリートだと思っています。ボクシングは認知度も世界的にすごいですし、僕もムエタイっていう競技に関してはそういう風に思ってもらいたいので、ムエタイという競技をもっと広く、世界中にその魅力を伝えていきたいです。
――世界的に視聴者を持つONEであれば、より魅力を広めていくことができそうですね。今回の対戦相手ラック・エラワン選手はどう見ていますか?
アグレッシブな選手だなっていう印象はあるんですけど、ONEに出る前は技巧派だったので、どっちもできるんだと思います。あと打たれ強さもあるし、前に出てくる圧力も強い印象はあるんですけど、穴はいくつか見つけたので、そこを突いていけたらっていう感じです。
――ONEに行くと、みな激闘系に変貌する印象があります。
やっぱりボーナスが欲しいんじゃないですかね(笑)。
――対戦相手の映像を見て分析はされる方ですか?
時間がある時とかは見て“この攻撃をした時にこういう癖があるな”とか“こうする時はこっち側がちょっと空くな”とか、そういうのは見ていると気づいてきます。試合中も冷静に戦えていると“俺がこの動きを出すとこういう対応をするな”とか“嫌がってるな”とかっていうのは結構分かります。
――吉成選手は動きだけでなく、そういった察知や瞬時に見て取る、分析する力もスピードが速いですね。
相手の弱いところを見つけたらすぐそこを突くし、効いた素振りを見せてもやっぱりすぐ狙います。チャンスを見逃さないっていうのを大事にしています。
――吉成選手が圧倒的に勝てるのはそういったところによるのですね。では、そんな吉成選手を今回ONEで初めて見る方もいるかと思います。最後にメッセージをお願いします。
今回ONE初参戦で素晴らしい大会に出場させてもらいますが、僕も今までにないぐらいの準備期間を経て成長できたと思うので、その強くなった姿をみなさんに見せられるのがすごく楽しみです。ぜひ僕の試合を楽しみにしてもらえたらと思います。
(文/長谷川亮)
●プロフィール
長谷川亮/1977年、東京都出身。雑誌編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行う。そのほか各種コラムの執筆、ドキュメンタリー映画『 琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』( 2019)の監督など。

