
共学化とともに「意義ある土曜日」にしようと始めたのが土曜講座だ。当初は教員が大学の研究テーマなどを講義していたが、今は大学教授や専門家を招いている。24年度に行われたテーマは「プラトンはソクラテス裁判をどう受け止めたか?」「デジタル文明」「脳とこころの冒険~潜在脳機能をめぐって」など、専門的な内容が並ぶ。
生徒は前もって列記された一覧から興味のある内容を選んで「どんなことを学びたいのか」記述して申し込み、講演の後はレポートを仕上げる。講演はCDにして保管しており、バックナンバーも含めて、いつでも視聴できる。
哲学書に対話を重ねて
09年度に指定を受けたスーパーサイエンスハイスクール(SSH)は4期目となり、今も続いている。
現在は高2生に「市川サイエンス」の授業を設けて、全員が課題研究に取り組む。理系の生徒はテーマを決めたら実験、実習を行って中間報告をし、さらにブラッシュアップして最終的に学年末に発表する。SSHの研究で力をつけ、数学オリンピックや科学コンテストなどで優れた成果を出す生徒も現れている。
一方で文系の生徒は、少人数で行われる「リベラルアーツ(LA)ゼミ」を履修する。24年度のテーマは「日本近代史ゼミ」「“未来を切り開く”法教育ゼミ」「教育心理学入門」など幅広く設定されており、好きなテーマを選んで研究する。
学年末には知の祭典となる「Ichikawa Academic Day」が開かれ、集大成として研究成果を発表している。
「SSHの発表がメインですが、誰が参加してもいいのです。たとえば私が顧問を務めている鉄道研究部の生徒たちが、調べたことをポスターにまとめて発表したりしています」(谷津さん)
リベラルアーツ教育の一環として12年から始まったのが「市川アカデメイア」だ。高2生の希望者が対象で、西洋・東洋の哲学をテキストに対話を重ねる。使用するのは、オルテガの『大衆の反逆』、アリストテレスの『形而上学』、デカルトの『方法序説』、ルソーの『人間不平等起源論』など。難解な哲学書を読み、それに対する意見を述べることで、深い思考力が身につくという。
※AERA 2025年3月24日号より抜粋、加筆
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