
南:ありがとうございます。これも下山さんの新聞労連の講演の際、すり減った靴底の写真を見せて、「私は靴底をすり減らして関係者を訪ねてこの本を書きました」と言っていたことをみならいました(笑)。記者クラブに依拠した当局取材ではなく、自分の足で歩いて話を聞くことに徹した企画です。
下山:他にはどんな企画をやってみたいですか?
南:下山さんの新刊でもうひとつ刺激をうけたのは、フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道が国益を背景にしていない、という点ですね。FTのブリュッセル支局にいた記者が、欧州経済危機やブレグジットの例をひきながら、ドイツやイタリアの新聞は自国にとっての権益はどうかという視点から報道しているのに対して、FTは英国の視点には立たない、と。
沖縄は東アジア情勢の影響をもっとも大きくうけている地域で、政治的に様々な思惑の人が動いています。国益にとらわれず国際的視野で見通せるそんな記事を書いてみたいですね。
下山:台湾有事ですね。
アメリカが、ロシアのウクライナ領土占領をみとめたまま、和平交渉を強要しようとするなど国際情勢は大きく変わっています。そうした中での沖縄。琉球新報と南さんの報道に期待しています。
(構成/書籍編集部・吉崎洋夫)
※AERA 2025年3月17日号より抜粋

