AERA 2025年3月3日号より

聴いてくれる人がいる

――40周年イヤーを終えた後もツアーをはじめ、新たな活動が控える。精力的な活動の原動力は何なのだろうか。

木根:この年になって楽しくやれていることが不思議です。やっぱり好きなことをやらせてもらっているからかな。

小室:昔と何も変わらず好きなことをやっているだけです。僕は趣味も音楽ですし。だんだん「自分は音楽しかできないな」という気持ちは強くなっています。僕は他の二人と違って俳優もやったことがないですし。どんどんそぎ落とされていって「人に褒めてもらえることは音楽しかない」と最近つくづく思います。

宇都宮:ツアーが始まって、最初は段取りを覚えるだけでも大変ですが、そのうち慣れてきて少しずつ楽しめるようになっていきます。

木根:聴いてくれる人がいるのは大きいよね。

宇都宮:もちろんそれはあるね。

木根:いくら僕たちが頑張っても皆さんが喜んでくれないと。

残された時間を意識

小室:ツアー中はほぼ毎公演、ウツから「今日のライブはこうしない?」という提案があるんですが、木根さんからは時々だね(笑)。

木根:僕は言われたことをやるだけでいっぱいいっぱいだから(笑)。

小室:二人から提案があると、少しずつ余裕が出てきたのか、もしくは客観的に見れてきているんだなと感じます。そうなるとまたライブが良くなっていく。でも、間違いなく残された時間を意識するようにはなりました。年齢を考えると重い気持ちにもなります。会社員だったらとっくに定年を迎えている年ですからね。

木根:僕とウツとマネジャーで井上陽水さんの「氷の世界」のツアーを見に行ったことがあるのですが、青春時代に聴いていた曲が次々と演奏されてぐっときました。

宇都宮:「あのアルバムの2曲目きたー!」とかね(笑)。

木根:そう。でも、TMを聴いてくれてる方たちにとっては、僕たちがそっち側だという実感がないんですよね。

宇都宮:その通り。

木根:だからライブで自分たちの曲を聴いて昔を思い出して泣いてくれている方たちを見ると、驚くと同時に「すごくありがたいな」と思います。ミュージシャン冥利に尽きますね。

(構成/ライター・小松香里)

AERA 2025年3月3日号より抜粋

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