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西洋人である私は、どちらに賛同すると表明しているわけではありません。私は、欧米で起きていることにはショックを受けていません。ただ、周囲の人々が私たちをどのように受け止めているのかを、理解するべきだと言っているのです。
このように、「西洋対世界」の対立にはたくさんの理由があります。しかし、何よりも驚くべきは、私たち自身が驚いていることそのものです。
ロシアが世界から好かれる理由は、たくさんあります。それにもかかわらず、こうした指摘に対し、私たちが驚いていることに、私はただ驚いています。
――あなたは西側の支配力が衰えてきて、インドやトルコ、グローバルサウスの国々がロシアに接近していると書いておられました。なぜグローバルサウス諸国は、民主主義国家のインドでさえも、ロシア寄りに立ち、西側の価値観に背を向けているのでしょうか。驚くべきことのように思いますが、なぜそうなるのでしょうか。
エマニュエル・トッド:まず、私が先ほど経済的搾取について述べたことは、価値観や組織の内部原理としての民主主義とは何の関係もありません。その一点だけでも十分かと思います。たださらにもう一点指摘しておきましょう。それは、西側諸国は自らを「世界における自由民主主義の価値観の旗手」だと考えているけれども、それは完全に時代遅れだということです。
そして、興味深いことに、私たち西洋人は国内政治について議論する際には、自分たちのことを「自由民主主義的である」と語ることはありません。