記者会見に臨む港浩一社長(左から2人目)らフジテレビ幹部

報告は「上がってきていた」

「より多くの人間がこの件を知る状況を生むため、女性のプライバシーが守られなかったり、女性の意思が十分尊重されなかったりするではないか、という点で大きな懸念がありました」

 中居さんからは「トラブルがあってからしばらくして話があった」という。

 そのうえで、「限られた社員が連携して日々対応し、報告は私まで上がってきていたので、対応に関する判断は私の責任」と話した。

「そこまで把握しておきながら、これまで正式に調査していないのは、調査をして問題が発覚しても、後々困ると考えたのではないか」

フジテレビの港浩一社長

第三者委員会と今後

 週刊誌はフジテレビの接待に女子アナの派遣が常態化していたと報じたが、そのような事実があったかどうかも、明らかにされるべきことだろう。

 同社は今後、「第三者の弁護士を中心とする調査委員会」を立ち上げるという。

 第三者委員会のガイドラインをまとめた日弁連は、第三者委員会を「企業における不祥事の原因や経緯などを調査するため、企業から独立した第三者によって組織された委員会」と定義している。

「ところが、港社長が説明した調査委員会にはフジテレビの人間も入るように聞こえました」

週末の様子を見る「観測気球」か

 港社長は、「会社の責任を矮小(わいしょう)化するつもりはなく、第三者の弁護士を中心とする調査委員会に調査を行っていただきます。私の判断含めて、徹底的に調査をしていただきたい」と語った。

 今回の記者会見は、世間やマスコミから非難されることを承知のうえで上げた「観測気球」ではないか、と髙祖さんは推察する。

「この土日をはさんで、どんな報道がされるのか、反応を見て、次の対応をとる。そんな時間稼ぎのように見えました」

 今月14日、アメリカの投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は約7%の株式を保有とされるフジ・メディア・ホールディングス(HD)に対して、第三者委員会の設置を求める書簡を公表した。そこには、こう書かれている。

<中居正広さんをめぐる騒動に関連する一連の出来事は、エンタメ業界の問題だけでなく、御社の企業統治に深刻な欠陥があることを露呈している>

 投資ファンドが指摘した「企業統治の深刻な欠陥」は、今後、是正されるのか。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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