給食の時間を楽しみにして学校に通う小・中学生は多いのではないだろうか。廊下からいい匂いが漂ってくると、もうお腹が鳴ってくる。そんな学校給食に焦点を当てて全国各地から献立を募り、日本一の給食を決めるのが「全国学校給食甲子園」だ。2024年に行われた19回大会で優勝したのは、石川県にある特別支援学校だった。

MENU 学校給食の豊かな食文化を世に知らしめたい 給食に授業実習で育てた野菜を使用 大会途中、食材が届かないアクシデントも

学校給食の豊かな食文化を世に知らしめたい

「全国学校給食甲子園」は、2005年に制定された食育基本法と、同時にスタートした栄養教諭制度を受けて、翌年の06年から始まった。主催する特定非営利活動法人21世紀構想研究会の馬場錬成理事長は、その趣旨を次のように述べている。

「学校給食は年々進化しておいしくなり、栄養管理も完璧です。日本の給食は非常に高いレベルにありますが、献立を作る栄養教諭と高い技術を持つ調理員の功績はあまり知られていません。そこでコンテストを創設し、普段は裏方に徹している栄養教諭と調理員を表彰することで、学校給食の豊かな食文化を世に知らしめようと考えました」

 24年度に行われた第19回大会のテーマは「食育を創る我が校の学校給食」で、全国から1051通の献立が寄せられた。審査は第1次から4次まで書類で選定され、4次審査で、6ブロック(北海道・東北、関東、甲信越・北陸、中部・近畿、中国・四国、九州・沖縄)から12校(施設)に絞られる。

 選出された12 校(施設)が決勝の「調理コンテスト」に進み、栄養教諭・学校栄養職員と調理員がペアになって、実際に応募した献立を調理する。その調理過程と食味審査によって優勝、準優勝各 1 校(施設)、および各賞が決定する。審査員は、審査委員長の公益財団法人新国立劇場運営財団・銭谷眞美理事長、審査副委員長の女子栄養大学・香川明夫学長、公益社団法人全国学校栄養士協議会・長島美保子会長を筆頭に、12名で構成されている。

 決勝大会は12月8日に女子栄養大学(東京・駒込キャンパス)にて行われ、12校(施設)の代表24人は審査員が見守る緊張感漂う中で、調理を行った。

次のページへ優勝校の献立の一部は生徒が考案
著者 開く閉じる
柿崎明子
ライター 柿崎明子
1 2 3