給食に授業実習で育てた野菜を使用
同日の15時から、東京駅隣にあるJPタワーホールで表彰式が行われた。1051校の頂点に立ったのは、石川県立明和特別支援学校。郷土の食材を豊富に使用しており、主菜のアクアパッツァには地元で採れたタラを使用。加賀野菜に認定されている加賀レンコンと源助だいこんをつかったスープ煮には、和食の煮物が苦手な生徒のためにウインナーを加えるなど、生徒が食べやすいような工夫を凝らしている。
同校は知的障害児と、肢体不自由児を対象とした特別支援学校。小学生から高校生までが同じ校舎で学んでいる。年に数回、高校生が考案した献立を取り入れており、好評だったメニューは定番化している。今回のアクアパッツァもそのひとつ。さらに高等部の授業実習で育てた野菜や、生徒の実習先の農家が育てたれんこんやほうれんそう、にんじんを使用。デザートの「ミルクゼリー~めいわジャムのりんごソースがけ~」は、フードデザイン班が作ったりんごジャムを使うなど、教員と生徒、地元の農家が協力して作り上げた給食だ。
審査委員からは「彩りが美しく手作り感が出ていた。生徒との連携も素晴らしい」と評価された。学校栄養職員の岡春菜さんは、「夢ではないかと思っています。協力していただいた生徒や先生、農家のみなさん、1人ひとりの顔が浮かんでいます」と、調理員の岩岸美加恵さんは「こういう華やかな賞はいただいたのは初めてで、この仕事に携わって、改めて良かったと感じています。先生やみなさんに感謝したいと思います」と、喜びを語っている。
大会途中、食材が届かないアクシデントも
準優勝は、香川県の高松市立香南学校給食共同調理場が受賞した。応募した献立は瀬戸内海でとれるあじの香味ソースかけ、県で栽培されている高菜の一種、まんばのごまドレッシングあえ、香川県のブランド豚・オリーブ豚を使った汁物など、地元の特産品を豊富に使用している。
ところが一部を除くほとんどの食材が、予定日に届かないという前代未聞のアクシデントが発生。大会の会場になっていた女子栄養大学内にあるレストラン「松柏軒」が食材を提供したり、近隣のスーパーを回って調達したりしたものの、あじはさわら、高菜のまんばは小松菜、オリーブ豚はスーパーの豚こまと、肝心の郷土の食材をそろえることはかなわなかった。
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