愛子さまが日中の正装であるローブモンタント(長袖ロングドレス)にあわせたのは、淡いサーモンピンクの共布でつくられた帽子だ。
成年皇族は、宮中行事や公務へ出席することになる。成年を前にした時期、宮殿行事などで着用する正装のドレスにあわせる帽子をいくつか新調した。
愛子さまが作った地模様の入ったローブモンタントは、胸元に飾りのないシンプルなデザインだった。20代の女性皇族となる愛子さまの清楚な雰囲気に似合うだろうと、こう提案した。
「お花の飾りもいいのではないでしょうか」
愛子さまは、にっこりと笑い、こう答えた。
「あ、それもよいですね。お願いします」
愛子さまは感情が豊かだ。うれしいと感じるときは、素直に表情にあらわれる。愛子さまが笑うと、その場の空気がふわっと明るくなった――。そう、欧子さんは振り返る。
これから愛子さまは、成年皇族として公務に出席する場面も増える。成年皇族のご準備としてつばのない「トーク帽」をはじめいくつか新調した。
「愛子さまの最初の帽子に、ふさわしいのでは」
そう思った欧子さんは、帽子の花飾りに愛子さまのお印であるゴヨウツツジを選んだ。花と一緒に編み込んだリボン飾りで品のよい華やかさを添えた。
皇族の持ち物の目印として用いるのが、お印だ。
天皇陛下と雅子さまは、栃木県の那須御用邸に咲くゴヨウツツジが好きで、「この純白の花のような純真な心を持った子どもに育ってほしい」と願いを込めて、愛子さまのお印としたという。
上皇ご夫妻へあいさつに向かう際、愛子さまは2年続けてこのゴヨウツツジの帽子を着用した。