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だから、自分が犠牲になればいいという決断はしないでほしい。地域包括支援センターに相談したり、会社に休職や時短勤務の相談をしてみるのもひとつの手。家のことだからと周りに隠して一人で決めるのではなくむしろオープンにして、多くの考えや案に耳を傾けてみてほしい。少しでも納得する方法があるかもしれないし、一人で我慢し抱え込まなくて済む方法が見つかるかもしれない。

今サポートを求めても、「できているのに?」と聞く耳を持ってもらえない。でも最初から協力をしてもらえれば、それが日常になっていく。だから最初が肝心。心が不安定な状況では難しいかもしれないが、最初に協力してもらえる体制を整えることがその先の自分を救うことになる。

今のこの考えが当時の私にあったらと思う。今とは違った未来があったかもしれないし、少なくとも、あれほどの孤独に襲われることはなかったはず。

だからどうか自分が犠牲になることで他人を守れると思わないで。介護が終わってからも人生は続くのだから。いや、介護をしているときも自分の人生は続いている。かけがえのない“自分”と“今”を犠牲にしないでほしい。

女性だからという理由で犠牲にならなくて済む未来を、私たちのような犠牲になった女性と、明るい未来を夢見る女性とで実現させていきたい。
 

「AERA dot.」鎌田倫子編集長から

エッセーに込められたメッセージが切実でした。

「自分が犠牲になることで他人を守れると思わないで」。家族という傘の中は他人も見えず、中に入ってしまうと外も見えにくくなる。

このエッセーが、外にあるほかの方法に目を向けるきっかけになってほしいと思いました。
 

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