たうち・まなぶ◆1978年生まれ。ゴールドマン・サックス証券を経て社会的金融教育家として講演や執筆活動を行う。著書に『きみのお金は誰のため』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など

 せっかくの機会だから、他の壁も含めて、まとめて議論したほうがいいのではないだろうか。

 そして、できることなら、もっとわかりやすくしてほしいのだ。おそらく、このコラムを読んでいるみなさんも、あまりの壁の多さに、いろんな記事を読んで勉強しているのではないだろうか。日本で働く7千万人がこの複雑怪奇な税制を理解する労力を減らしてほしい。いっそのこと、壁を一つにしたほうがいいのではないだろうか。

 所得に関する税制度でさえこんなに複雑なのだ。全体の税制度は、どれだけ複雑なことか。財務省の中で働く人から聞いたことがある。財務省の中に、すべての税制を完全に把握している人は存在しないと。そして、自分の職域を守るために、複雑な税制をシンプルにするインセンティブ(動機づけ)が働かない人たちも存在するそうだ。

 仕事を守る、という悠長なことを言っている時代ではない。今の日本では、いたる所で人手不足が起きている。その問題を解決するためにも、働きたい人が「働き損」にならないための環境づくりが喫緊の課題なのは間違いない。

AERA 2024年12月23日号

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