
落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「ハゲネタ」。
AERA dot.を告訴しようと思う。
まったくもって失礼な話ではないか。ハゲにむかって「ハゲネタ」というお題を出すなんて完全にハラスメント。「ネタ」とあるから「あくまでネタとしてハゲエピソードを語ってくれませんかね〜、へらへら〜」ということなのだろうが「『ネタ』なんだからべつにいいですよね〜」ってそのエクスキューズのつけ方がなんかイライラするなー。
なんてね。
怒ってないですよ。べつに。
たしかに私は最近よく「ハゲネタ」を口にする。主に「笑点」の大喜利のなかだけだけど。安直に笑いをとるには、私はちょうどいい頭してるし。ちなみに私の父親もかなり若いときからいい具合にハゲてたので、子どもの頃から遺伝するのだろうなととっくに覚悟はできていました。ハゲメンタルの初期設定はずいぶん早い時期から完了済みだったので、流れに抗うことなく今の状態を受け入れています。だから今さらハゲだの言われても腹も立たないのだ。
世の中の潤滑油たるハゲ
また大衆は「ハゲ」がまだまだ好きなのです。
初対面のハゲにはおっかなびっくりだが、ハゲてる人がおのれのハゲに言及し、ハゲをネタにするとみんな安心して笑顔になる。
「あ、この人のハゲは笑っていいハゲなんだ」と。「ハゲをさほど気にしてないハゲなのか」と。「むしろ笑ってあげたほうが当人のためにいいハゲなのか」と。「世の中の潤滑油たるハゲなんだな」と。
ときどきいじってはならないハゲをいじって地雷を踏む人もいますが、そういう人はハゲのほうから歩み寄ってくるのを待てないかわいそうな人です。