基本は戸締り、数百円でできる対策も
両社によると、「複数の防犯対策をとり、住居に侵入するまでの時間を稼ぎ、その間に警察に通報すること」だという。
防犯の基本は戸締まり、特に「玄関ドアの施錠」だという。
警察庁によると、昨年発生した侵入窃盗で、最も多かった手口は「無締まり(無施錠)」での侵入だ。侵入窃盗被害のうち、一戸建て住宅で46.3%、共同住宅(4階建て以上)で41.6%が鍵をかけていなかった。
「強盗が玄関から入ってきたら、警察に通報する間もありません。外出時だけでなく、在宅時も鍵をかけておくことです」(濱田さん)
防犯ガラス類の問い合わせは42倍に
次に注意するのは、窓ガラスだ。窓ガラスを破って侵入するケースが相次いだため、セコムには防犯ガラスや、窓ガラスに貼る防犯フィルムについての問い合わせが急増した。10月は前年同月比で42倍にもなったという。
一般のガラスはハンマーなどの衝撃でたやすく割れるが、防犯ガラスは合成樹脂の板を2枚のガラスが挟んだ構造で、強靱で割れづらい。費用は1枚数万円。より廉価でできる対策として、市販の防犯フィルムを窓ガラスの内側に貼るのも効果がある。
補助錠も有効だ。窓の上か下に取り付けておけば、窓ガラスに穴を開けられ、メインの鍵に手をかけられたとしても、ガラス戸は開かない。数百円から購入できる。
セキュリティー会社による防犯システムを入れるという手もある。窓が開けられる、部屋に人が侵入するなどの異常をセンサーが感知した場合や非常通報ボタンが押された場合、警備員が出動する。警備業法は、異常を受信してから一定時間内に現場に警備員を到着させることを求めている。
複数のセンサーが感知するなど、「犯罪にほぼ間違いない」場合は、警備員の派遣だけでなく、警察への通報も同時に行われる。
「防犯システムを設置していれば、仮に警察に連絡できない状況でも、通報を受けて助けに来てくれるなど、効果的です」(千葉県警)
とにかく逃げて警察に通報
無理やり押し入られ、家の中で強盗と対面してしまった場合、どうすればよいのか。
「ケースバイケースですが、とにかく逃げることが一番です。その後、警察に通報する」(松田さん)
濱田さんも「間違っても、戦わないように」と、念を押す。
「実行役は指示役に『やれ』と言われたら何でもやる。抵抗するのは非常に危険です」(濱田さん)
トクリュウ型の凶悪犯罪はごく身近で起こっている。警視庁の担当者の声からは事件の捜査に全力をあげていることが伝わってきた。8月以降に首都圏で発生した一連の強盗事件では、これまでに計約40人の実行役やリクルーター役らが逮捕された。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)