日経平均株価の上げ幅は一時1100円を超えた

 だが、トランプラリーは長くは続かない可能性がある。

第一生命経済研究所の首席エコノミストの永濱利廣氏が話す。

「確かにトランプ政権1期目の前半は株高が進みましたが、米中貿易の競争激化で18年3月にトランプ氏が対中制裁を決定したことを受けて、株安・ドル安が進み始めました。日本も18年11月には景気後退入りし、19年の消費税引き上げ、20年のコロナショックもあり、20年5月まで景気後退局面が続きました。今回も同じ道をたどる懸念があります」

 今回もトランプ氏は中国からの輸入品に対して60%の関税をかけることを公言している。さらに、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューでは、「中国が仮に台湾に侵攻すれば、関税を150~200%に引き上げる」と発言しているのだ。

 関税が引き上げられれば米中貿易摩擦が再び高まるのは必至だ。当然、その影響は日本にも及ぶ。

最も少ない5分

「日本の貿易の40%を占めるのが対中および対米貿易。その2つの国で貿易戦争が発生すれば、日経平均の暴落は避けられない。実際、18年は10月のピークから年末にかけて20%以上の下落を見せ、年間を通しても7年ぶりの下落を見せた」(前出の大手ネット証券関係者)

 加えて、今回、トランプ氏は「すべての輸入品に10~20%の関税をかける」と公言している。

 永田町関係者が話す。

「トランプ氏は同盟国だから関税をかけないというタイプではない。1期目のときも、執拗に2国間の自由貿易協定(FTA)を結ばないと自動車関税を強化すると圧力をかけてきた。当時は安倍元首相が先回りして日EU経済連携協定(EPA)やTPP11(米国を除く環太平洋経済連携協定)を進めるなどして事実上のトランプ包囲網を築くことで関税強化を回避したが、石破政権には交渉ができる人材がいない。今回の当選確定後のトランプ氏と石破首相の電話会談は韓国よりもあとだったうえに、各国首脳のなかで最も少ない5分だけだった。日本の輸出品に対する関税引き上げを回避できるだけの力が石破政権にはないでしょう」

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米国発のインフレの波