2022年9月19日、ウェストミンスター寺院で行われたエリザベス女王の国葬には各国の要人など2千人以上が参列した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
2022年9月19日、ウェストミンスター寺院で行われたエリザベス女王の国葬には各国の要人など2千人以上が参列した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 本の中の間違いも多く指摘された。2002年のエリザベス皇太后の死去はイートン校で知らされたとするが、実際はイースター休みを利用して父と兄とスイスにスキーに行っていた。また、メーガンさんは結婚式前にメキシコ在住の父をロンドンに招待するためニュージーランド航空のファーストクラスのチケットを送ったと書いた。しかし同航空から「ロンドンとメキシコを結ぶ路線は一度も飛んでおりません。したがってファーストクラスもございません」と訂正され、親孝行アピールは否定された。出版社はファクトチェックを済ませたと強調し、王子夫妻からは何らの訂正も入らない。それどころか王子は、「王室はメーガンに謝罪してほしい」と言い募る。

 ユーガブ社のロイヤル人気調査が3月18~20日に行われた。それによると、ウィリアム皇太子(40)が72%、キャサリン皇太子妃(41)が70%で、チャールズ国王(74)は63%、カミラ王妃(75)は48%だった。ちなみにヘンリー王子は25%、メーガンさんは22%だ。イギリスのメディアは、『SPARE』出版後に一時低迷した王室人気は「回復した」とコメントした。王族は変わらず公務に励み、王室を貶めようとする試みに耐えた。そうするうちに、王子はタリバン兵25人の殺害を明かし、違法ドラッグ使用の効果を強調したと一般読者から厳しい批判を浴びるようになった。ドラッグ使用はアメリカ滞在のためのビザまで危うくするかもしれない。王室が沈黙を守るうちに、相手が自滅したといえるだろう。

■トラブルを抱える新国王に求められるのは人間的魅力

 ただ、また国王を悩ます出来事が持ち上がった。弟アンドルー王子(63)がアメリカの出版社から回顧録を出すという。王子は未成年者への性的虐待疑惑後、公務などから外されて支給金が減額されている。そのため現在住む豪邸からの退去を言い渡された。生活維持にも困る可能性も出てきた。それでアメリカ人ジャーナリスト、ダフネ・バラク氏と暴露本の契約をする予定だ。彼女は、イギリスのシンガーソングライター、エイミー・ワインハウスやパキスタンのベナジル・ブット元首相の伝記などを手掛けた。アンドルー王子はいわば“元祖スペア”。本のタイトルは『SPARE2.0』といわれる。ヘンリー王子よりも王室経験が長いので、材料は豊富に違いない。それでも、『SPARE』ほどは注目を浴びず、契約金は1億円に達すればよい方と言われる。

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