5月6日に行われる英国王チャールズ3世の戴冠式が近づいている。ヘンリー王子による暴露本に続き、国王の弟も回顧録を出す予定だという。不安要素を抱えつつ、改革を断行しようとする英王室。その現在地を読み解く。
【写真】ウェストミンスター寺院で行われたエリザベス女王の国葬
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ヘンリー王子(38)とメーガンさん(41)が、王室離脱をしてから約3年になる。メーガンさんの故郷カリフォルニア州に住まいを定め、そこで静かに暮らすと見られた。しかし、翌年にはアメリカの司会者オプラ・ウィンフリー氏のインタビューを受けた。王室内でアーチー王子に関する人種差別を受け、またメーガンさんはメディアから追いかけられ自死まで考えたのに、王室は冷淡で何もしてくれなかった、と訴えた。これに対しエリザベス女王は、「記憶とはあいまいなもの」と名言を吐き暗にたしなめている。
その後も二人は、アメリカの「TIME」誌の2021年版「世界で最も影響力のある100人」に選出されて表紙を飾り、メーガンさんは多くの女性誌のインタビューをこなした。「被害者ビジネス」「王室批判ビジネス」との声には耳を貸さない。
いよいよ雲行きが怪しくなってきたのは、大手配信サービス・Netflixと約160億円の契約をして、昨年12月にドキュメンタリー番組を公開した頃だろう。メーガンさんは「ラブストーリーを楽しんで」と胸を張ったが、彼女は王室での伝統のお辞儀(コーティシー)を大げさにやってみせ、女王への侮辱として国民の怒りを買った。メディアにしつこく追われると苦痛を訴えたシーンは、映画「ハリー・ポッター」のプレミア上映会の一場面を拝借するというお粗末さだった。
■ヘンリー王子の暴露本は、「自嘲的な言い訳ばかり」
決定的なのは、今年1月に発売されたヘンリー王子による暴露本『SPARE(スペア)』だ。王室内でひどい扱いを受けたと「同情する声が殺到する」と期待した。しかし、ギネス世界記録に認定されるほどの売れ行きである一方、二人の人気は最低を記録するという珍現象。「兄から身体的暴力を受けた」「カミラ王妃は評判を上げようと必死な邪悪な継母」「父はテディベアを外国まで連れていく」などと家族のプライバシーを明かす。母ダイアナ元妃を12歳で亡くしたことに同情は寄せるが、かき集めたエピソードは「王子自身のふがいない自分への自嘲的な言い訳ばかり」と批判された。