やがて、1男1女の母に。長男については、全国大会で優勝するほど、速読が得意なことをテレビで自慢する親バカぶりを見せていた。一方、長女は体に障害を持って生まれたが、これをテレビで公表。「芸能人はイメージが大事なので、隠さなきゃ」という意識を、次のような考えが上回ったのだという。

「娘が一生懸命生きている姿を見たら、隠していることが同じ人間として娘に失礼に思えて」

 ここにも「純真無垢」なところが見て取れる。

 そして、長女の障害は彼女の目を教育や福祉に向けさせた。大学院で政策学を修め、離婚した12年に卒業。15年には「一億総活躍国民会議」の民間議員に起用された。その会議を運営する立場にいて、知り合ったのが、このたび再婚した相手というわけだ。

■いまも純粋無垢なまま

 とまあ、現在の彼女は幸せのまっただなかといえそうだが、そんななかでも「純真無垢」な一面を発揮している。11月15日、ブログにこんな文章を投稿したのだ。

「入籍後、周囲の仲間から、色々と私の耳にも入りますが……、フェイクニュース(偽りの情報)には、困らされます。(略)人間には言わずもがな『心』があります」

 こういう芸能界ずれ(?)しないところが逆に80年代のアイドルブームのなかで新鮮に映り、そして今もファンに愛されるゆえんなのだろう。そういえば、再婚報道が出た週の「こころ旅」(NHKBSプレミアム)で彼女のヒット曲「もう逢えないかもしれない」が流れた。本人も出演したグリコのCMで使われた曲でもあり、その舞台となった田舎の駅がたまたまこの日の訪問先になっていたからだ。

「なんとタイムリーな!」というネットのざわつきを眺めながら、かつてのトップアイドルの「持ってる」感にちょっと驚かされた。ちなみに、この訪問先をリクエストした手紙の主は、彼女の大ファンで、地元でこのCMが撮られたことを妻に自慢し続け、自分の娘に「桃子」と名付けたという。

 こんな話題なら、本人も「フェイクニュース」などといわずに喜ぶに違いない。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。

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