ファミリーマート2000店舗で「廃止」されるイートインスペース。実際の店舗とは関係ありません(画像提供=ファミリーマート)
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 ファミリーマート(以下、ファミマ)は2日、店舗内に設置している「イートイン」を売り場に転換することを発表した。同社では全国約7000店舗でイートインがあるが、そのうち約2000店舗を転換するという。最近ではカフェやファミレスでも長居が規制されるなど、街中での“居場所”がなくなりつつある。取材の合間に、イートインでコーヒーを飲んだり、食事をとったりしていた筆者にとっても大きな問題だ。廃止を惜しむ利用者の声やファミマ側の“本音”を取材した。

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「この場所がなくなると本当に困りますね。警備の仕事をしているので、休憩時間は30分間が厳守なんですよ。ここは現場から近くて、私のよりどころなんです。イートインに座って、アイスコーヒーを飲みながら体を休められるのが、貴重なお昼の時間だったのに、残念ですね」

 10月4日のお昼どき。都内のファミマのイートインでコーヒーを飲んでいた男性はこう話した。

 また、大手家電量販店に勤めているという男性(28)はこう残念がる。

「ここのイートインは、人が少なくて穴場なんですよ。カップ麺を食べながら、スマホでゲームをするのが昼休みの楽しみです。もしイートインがなくなったら、職場で食べるしかないのか……別のところを探すしかないですね」

 ファミマのイートインばかりを渡り歩いているという自営業の男性はその理由をこう話す。

「電源があるから便利なんですよ。タブレットやパソコンの充電をしながら、軽く仕事をしています。コロナ禍が明けたころから、午後8時になるとテーブルの上にいすを逆さまに置いて、イートインを使えなくしている店舗が出てきましたね。それにちょっと不安を感じていたところだったんですが……まさか廃止とはね」

 イートインが設置してあるファミマを回ると、「1時間以上のご利用はご遠慮ください」「仮眠はおやめください」という貼り紙がしてある店舗が目立つ。5カ所ある電源のうち、4カ所の差し込み口をふさいで、使えるのは1カ所に制限している店舗もあった。その店舗の女性定員はこう話す。

「電気代の節約と、パソコンで仕事をして長時間粘る人がいるので、5つのうち4つの電源をふさいでいます」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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