リクルートワークス研究所の予測によると、40年に112万人の労働力が不足するとされる製造業。

 産業用ロボット大手のファナック(本社・山梨県)は、人と一緒に作業できる「協働ロボット」に注力していた。同社幹部は「加速する技術者不足は、事業継続を左右する要因となる」と話し、自動・省人化技術のニーズが拡大するとみる。

 ロボット展の活況は将来への明るい材料だが、「減った人手を単純に置き換える発想では難しい」と課題も聞こえてきた。

 主催する日本ロボット工業会の冨士原寛専務理事は「人を基準に確立した動きを、人が担う部分、ロボットが担う部分に整理する必要がある」と社会のあり方の見直しに触れる。政府も企業に業務プロセスや施設環境の変化を促し始めた。

 元日本ロボット学会長の高西淳夫・早稲田大教授はこうした動きを「これまでロボット開発はメーカーが主導だったが、ユーザーの存在が重要になる」と話す。課題を抱える企業と開発側のコラボレーションはすでに幅広い各業種で始まっているという。

 人手不足が深刻化する地方では、対応策や突破口を模索する議論が続いている。海外人材に活路を見いだそうとする動きも本格化している。

 高知県は、外国人労働者の受け入れを人材戦略に盛り込んだ。県内で就労する技能実習、特定技能の外国人について、21年度からの3年計画で、約900人増の3150人を目標に設定。「今後ますます、欠かすことのできない貴重な存在」と位置づけ、24年度以降も取り組みを強化する。

 朝日新聞が今年実施した全国世論調査では、外国人労働者の受け入れ拡大方針について、賛成が62%と反対の28%を上回った。18年に同様の調査をした時は賛成44%、反対46%と拮抗していたが、今は賛成が多数派になっている。

 日本国際交流センターの毛受敏浩・執行理事は「人口減少に歯止めがかからない地方で、外国人は必須」と語る。ただ、都市部とは賃金差もあり、見通しは厳しい。「これまでの雇用の調整弁的な扱いでは選ばれない。定住を前提に受け入れる『本気度』が問われる」と指摘する。(朝日新聞「8がけ社会」取材班)

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AERA 2024年9月23日号より抜粋

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