人事の観点だけでリスキリングの話をする方もいるし、デジタルの分野から話す方もいますが、社会課題解決の観点を持っているかどうかがすごく大切です。
荒木さんの場合、出版社という大きな枠組みのなかで仕事をしていて、その中に営業とかマーケティングの経験値が加わり更新されている。そして、チョコレート活動では、発信側となり喋るスキルが身についている。
そこにもう1つ違うものを組み合わせることで、今後10年、20年…仮説段階ですが、必ず何かになる気がします。
荒木:日本のチョコレートは本当にすごい!を伝えたくて、フランス語の勉強を始めました。もし機会があれば、直接ショコラティエに会って話してみたいと思ったんです。
YouTubeやアプリで、いつでもどこでも学ぶことができますし、「Duolingo」も始めています。AI翻訳の性能は上がっていますが、自分の言葉で話すことで相手の気持ちを汲みとりたいんですね。
繋ぐとか伝えるみたいな役割を、私は多分やりたいのかもしれません。
後藤:チョコレートへの熱い想いをフランス語で発信していって、フランスのお仕事に繋げる、グローバルに活躍する荒木さんが想像できます。
荒木:世界に拠点があることは、すごくいいですよね。日本のチョコレートのメーカーさんは熱心に、一年中絶え間なく新商品を開発されています。日本はとても良いものを真面目に作っているということを、世界に向けて発信したいです。
好きこそものの上手なれ
後藤:荒木さんは繋がりを生み出すのがすごく上手です。好奇心もあり、ストリートスマートスキル=世渡り上手力もある。営業とマーケティングで培ったスキルを、チョコレート活動にも広げて、世界と繋ぐ。他言語でそれができるようになったら、活動も広がります。
リスキリングしてみようかなと思ってもらえるきっかけの1つが、「好きこそものの上手なれ」です。突き詰めていって、チャンスを得ることによって自分で違うスキルを見つけていく。
僕がリスキリングに関心を持った理由は、AIによって雇用がなくなる未来を防ぎたいからです。リスキリングという言葉をアメリカで知って、2015年ぐらいから海外の有識者たちと話してきましたが、日本は7年遅れと言われています。
年齢を重ねても、楽しく仕事をしていくチャンスはあるんだよっていうことを、これからも伝えていきたいです。
(取材・文/長谷川拓美 朝日新聞出版)