日没を迎えて明かりが灯されると、闇夜に浮かび上がる紅葉。それは昼間とはひと味違う雅やかな京都の紅葉美だ。8月6日に発売されたばかりのASAHI ORIGINAL 紅葉ガイド特別保存版「秋の京都2024」は、ライトアップが生み出す紅葉と光の世界を堪能できる王道名所や穴場を特集している。本の発売を記念して、世界遺産にも登録されている王道名所4カ所と、夜の紅葉を制するためのポイントをオンラインでも配信したい。
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平等院
宇治は平安貴族たちがこぞって別邸を建てた景勝地。平等院はその宇治の地に1052(永承7)年、関白・藤原頼通が父・藤原道長の別荘だった宇治殿を寺に改めたのが始まりとされる。極楽浄土を思わせる鳳凰堂と阿字池の、錦秋の美は格別だ。
夜間特別拝観では、鳳凰堂を中心に庭園がライトアップされ、境内の約200本もの紅葉が明るく輝く。阿字池の水面に鳳凰堂と紅葉が映り込み、風がない日は鏡のように完璧なリフレクションが見られることもある。
Best View Timeは午後7時から8時。以前は午後6時の開門に合わせて多くの人が詰めかけ混雑していたが、ここ数年は事前申込制になり、比較的ゆっくりと拝観できる。
東寺(教王護国寺)
東寺(教王護国寺)は、平安京造営の際、羅城門の東に建立された国家鎮護の寺院。嵯峨天皇に託され、弘法大師・空海が指揮を執り造営されたこの寺は、唯一残る平安京の遺構。国宝・五重塔は1644(寛永21)年の再建だが、現存する木造建築で日本一の高さを誇る。密教の教えを空海が表した講堂の立体曼荼羅(まんだら)も壮観だ。
秋には200本もの紅葉と境内がライトアップされ、国宝の五重塔や金堂、講堂がまばゆく照らされる。瓢箪(ひょうたん)池の水面に浮かぶ紅葉と五重塔の美しさは必見だ。
Best View Timeは、午後8時半から9時。開門前から行列ができる人気スポット。京都駅から徒歩圏内なので、受け付け終了間際にさっと立ち寄るのがいい。