金足農(秋田) 2年:投手吉田大輝(よしだ・たいき)/178センチ、85キロ、右投右打。秋田大会決勝では16安打を浴びながらも完投。146キロの直球を武器に要所を締める投球は兄の輝星(現オリックス)に似ている(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 全国高校野球選手権大会が8月7日に開幕する。生誕100周年を迎えた阪神甲子園球場にどんな物語が刻まれるのだろう。注目選手を紹介する。AERA2024年8月12日-19日合併号より。

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 阪神甲子園球場が生誕100周年を迎える夏。その歴史と継承を感じさせるような選手たちが聖地に集う。

 第100回記念大会(2018年)で準優勝した金足農(秋田)が甲子園に帰ってくる。原動力となったのは2年生エースの吉田大輝。「金農旋風」を巻き起こした6年前のエース・吉田輝星(こうせい)(現オリックス)の弟だ。球の伸び、マウンドさばきなどセンスの良さは兄をほうふつとさせる。100回大会の3回戦、横浜(南神奈川)戦で逆転3ランを放った高橋佑輔さんは現在コーチを務め、その弟の佳佑が主将としてチームをまとめる。

 第92回大会(10年)で沖縄悲願の夏の初優勝を春夏連覇で達成した興南は、当時のエース・島袋洋奨(ようすけ)さん(元ソフトバンク)が3年前からコーチとして後輩を指導する。今夏は同じ左腕の田崎颯士(りゅうと)がチームを引っ張る。最速149キロの直球と鋭いスライダーで打者をねじ伏せる投球スタイルは、「琉球トルネード」と呼ばれた先輩の雄姿と重なる。

 一昨年に東北勢初の全国制覇を果たし、昨年も甲子園の決勝に進出した仙台育英を宮城大会決勝で破った聖和学園。背番号10の齋藤佑樹が初出場の原動力になった。先発して7回途中まで相手の強力打線を6安打4失点にしのいだ。同姓同名の「ハンカチ王子」が引き分け再試合の末に優勝投手になった第88回大会(06年)決勝戦の約200日後に生まれた。あれから18年。“先代”とはスタイルが違うサイドスローながら、粘り強い投球を身上とする。

深紅の大優勝旗は?

 斎藤佑樹さん(元日本ハム)にとって早稲田実(西東京)の大先輩にあたる荒木大輔さん(元日本ハムコーチ)が、1年生で準優勝して「大ちゃん」ブームで人気者になったのは第62回大会(1980年)だった。それから18年後の第80回記念大会(1998年)には、「大輔」と名付けられた球児が14人も甲子園にやってきた。その一人が松坂大輔さん(元西武)。その18年前の決勝で荒木さんが敗れた横浜(神奈川)のエースとして春夏連覇を達成し、「平成の怪物」と呼ばれた。

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