広告会社の関係者は、
「CMを担当する広告会社と放送局の関係性が悪くなるのでは」
と危惧する。CMの放送枠について何かトラブルがあった際は、まずは広告会社が対応するというのが一般的だといい、CMが流れないなどのケースでは、CMのスポンサー企業から広告会社にクレームが入ることがほとんどだという。
「スポンサー企業の広告会社に対する信頼が落ちる可能性があります。その責任をどう取るのか、という話も今後出てくるのではないでしょうか」(前出・広告会社関係者)

スポンサー離れのきっかけにも
広告が既存メディアから離れていると言われて久しいが、実際に広告市場の変化は大きい。
広告大手「電通」が毎年公開している「国内広告費調査結果」では、2019年に地上波テレビの広告費1兆7345億円をインターネットが初めて上回り、2兆1048億円(前年比119.7%)となった。21年には、ネット広告は2兆7052億円(同121.4%)で、マスコミ4媒体(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)の計2兆4538億円を超えた。
広告など情報通信産業に詳しい福井誠・武庫川女子大教授(経営学)は、
「テレビ離れが進むなか、昔みたいにCMの放送枠が売れまくっているとは言えない。そのなかで、CMを流せないなどの事故は、スポンサーがテレビ業界から離れるきっかけになる可能性がある」
と話している。
(AERA dot.編集部・板垣聡旨)

