輝くような笑顔でギリシャへ出発した佳子さま=2024年5月25日、東京・羽田空港

「そのお話をもう少し」と佳子さま

 木戸さんは佳子さまのギリシャ訪問前の4月、秋篠宮邸で3時間ほど、ギリシャ美術と東方正教などについての「ご進講」を担当した。内容は、修道院のビザンティン美術の解説のほかにも仏教美術の曼陀羅まで、多岐にわたった。

 イタリアのルネッサンスの影響を受けなかったビザンティン美術は、荘厳さを残す一方で静的、抽象的で、高く評価されてこなかったところもある。しかし、木戸さんは佳子さまに一般的な美術論ではなく、ご自身の価値観を大切にしていただきたいと思い、ご進講に臨んだという。
 

アテネ郊外のサラミナ島に建つファネロメニ修道院。17世紀に建立され、年間35万人が訪れるという=木戸雅子・共立女子大名誉教授提供

 3時間のご進講は、ほぼ休憩なしだったが、佳子さまはメモをとりながら熱心に聞いていた。それでも「そのお話をもう少し……」と佳子さまから質問があったが、その後に公務の打ち合わせがさらに3時間予定されているという厳しいスケジュールだったため、途中で終了となってしまったという。
 

ファネロメニ修道院で2007年から14年まで行われた壁画修復作業の様子。すすで真っ黒になった壁画を、丁寧にきれいにしていった=木戸雅子・共立女子大名誉教授提供

 木戸さんは、ギリシャ訪問に臨む佳子さまに、こう話したという。

「土地に足を運んで、ご自身の目を通して、たくさん学ばれてください。古代ギリシャや神話だけではない、いまのギリシャと人びとをご覧になり、日本人とギリシャの人びとがどのように心を通わせているか、それを感じてください」
 

ファネロメニ修道院で2007年から14年まで行われた壁画修復作業の様子。すすで真っ黒になった壁画を丁重にきれいにしてゆく=木戸雅子共立女子大名誉教授提供
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