『ヒーローズ』デビッド・ボウイ
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『ヒーローズ』デビッド・ボウイ
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『ザ・ネクスト・デイ』デビッド・ボウイ
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『ザ・ネクスト・デイ』デビッド・ボウイ
『ステージ』デビッド・ボウイ
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『ステージ』デビッド・ボウイ
『地球に落ちて来た男』 [Blu-ray]
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『地球に落ちて来た男』 [Blu-ray]
『サウンドアンドヴィジョン きれい 』鋤田正義
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『サウンドアンドヴィジョン きれい 』鋤田正義
『冷凍睡眠 COLD SLEEP』北山 真 with 真○日(シンジツ)
『冷凍睡眠 COLD SLEEP』北山 真 with 真○日(シンジツ)

 2016年、1月現在でも、すでに、たくさんの来日が予定されている。
 このコラムで以前に紹介した、マドンナやエリック・クラプトンにつづき、年末に、ボブ・ディランの15年ぶりのホール・ツアーが発表になった。その後も、シカゴやブライアン・ウィルソンの『ペット・サウンド』再現ライヴのTVCMを見た。他にも、TOTO、クール&ザ・ギャング、元ストレイ・キャッツのブライアン・セッツァー、17歳でサンタナに入り、その後ジャーニーを結成したニール・ショーン、高校生の頃ディープ・パープルの次くらいに気になっていたユーライア・ヒープのデビュー45周年ライヴなどなど、書き切れないほどだ。

 今年の初めは、ボブ・ディランについて書こうかな、と思っていたら、1月10日に、デビッド・ボウイの訃報が届いた。69歳だった。数日前に、新譜が出たという話題を聞いたばかりだったので、虚を突かれたように驚いた。10年ぶりに発表された前作の『ザ・ネクスト・デイ』(2013)も、かっこよいアルバムで、またボウイが戻ってきたという印象をもっていたのにだ。《ザ・ネクスト・デイ》のプロモーション・ビデオも、波紋を呼ぶほどの毒の効いたかっこよさだった。ジャケットも、1977年のアルバム『ヒーローズ』の写真の上に、白い紙を貼ったようなデザインで、『ヒーローズ』の続編のような印象をもったものだ。

 2012年に東京都写真美術館で、アルバム『ヒーローズ』のジャケット写真を撮影した鋤田正義の写真展「SOUND & VISION」を見てまもなくだったので、なんか、シンクロしているなあと感じたものだった。ここの「第74回 細野晴臣、YMOなどの写真家、野上眞宏氏の写真集『SNAPSHOT DIARY』が凄い!」で紹介した野上眞宏さんが、鋤田正義に師事していたことも、去年知った。

 わたしが最初に聴いたデビッド・ボウイのアルバムは、『ジギー・スターダスト』だ。原題は『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』。発表された1972年のときのタイトルは、『ジギー・スターダスト―屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群』だった。わたしは高校生だった。この長ったらしいタイトルにも、ある種のいかがわしさとかっこよさを感じ、惹かれたものだ。
 このころ、グラム・ロックというものが流行りだして、Tレックスやデヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックが話題だった。わたしも、Tレックスのマーク・ボランの真似をして、襟の大きな黒いベルベットの上着を着たりしていた。

 日本では、《帰ってきたヨッパライ》をヒットさせたフォーク・クルセダーズの加藤和彦がサディスティック・ミカ・バンドを結成し、ロンドンで話題となって、逆輸入のような形で日本でも人気を呼んだ。加藤和彦は、デビッド・ボウイを彷彿とさせるケバケバしくキラキラしたファッションをしていたが、物まねと言う感じではなく、オリジナルのかっこよさを感じさせた。1975年には、ロキシー・ミュージックの全英ツアーのオープニング・アクトをつとめて、話題となった。このバンドには、《メリー・ジェーン》のヒットをもつ、つのだ☆ひろ、ソロで人気者になっていくギタリストの高中正義、後にYMOのメンバーとなる高橋幸宏などが、参加している。
 加藤和彦の奥さんのミカ(初代ボーカル)は、派手な衣装で、丸い大きなサングラスをしてタンバリンをたたきながら歌っていた。当時は、チャラチャラして歌もあまりうまくないなと思っていたが、今聴くとオリジナルの味わいも感じられて、なかなか好きである。

 そういえば、それからしばらくして、「ジギーは死んだ」というニュースが聞こえてきた。1973年、デビッド・ボウイは、自ら作り上げたスーパー・スター、ジギーを葬ったのだ。ところで、この頃のライヴ映像が、ずいぶん経ってから上映された。73年のロンドンのハマースミス・オデオンでのドキュメンタリー映画だ。ここでわたしは、当時のデビッド・ボウイの妻アンジーを見た。これがまた、ど派手なのはよいのだが、どこかカル~イ感じで、これがボウイの妻で、ローリング・ストーンズが歌う《アンジー》なのかと、ちょっと、拍子抜けしたのを覚えている。でも、サディスティック・ミカ・バンドのミカに、どこか似ているのだった。ちなみに、日本で上映されたのは、84年とのことだ。今では、DVDなどで見ることができる。『ジギー・~』が好きな人は見るべきだろう。アンジーが、ボウイとミック・ジャガーの関係について話しているが、音楽のことではないので、ここでは避けることにする。興味のある方は、調べてみて。
 それから、ボウイが主演した映画『地球に落ちて来た男』も何度も観てしまうカルト性がある。ここでも、ボウイは宇宙人で、星に残してきた妻子を思いながら……。これも、ファンは、観るべきだろう。

 さて、わたしが最初にボウイのライヴを観たのは、1978年の『ロウ』&『ヒーローズ』・ツアー12月11日の日本武道館だ。
 CDでいえば、『ステージ』(78)と同時期のライブだ。
 元ロキシー・ミュージックのブライアン・イーノとベルリンで作ったアルバム『ロウ』から、重く、暗い《ワルシャワ》とともに、武道館のステージいっぱいに、蛍光灯がすこしづつ点灯していき輝いたことを今でも思い出す。『ステージ』のジャケットで、ボウイの後ろで光っている棒のようなものだ。このセットだ。この頃のボウイは、男のわたしから見ても、神がかっているような特別な存在に思えた。

 この時は、当時、わたしが舞台俳優として参加していた劇団インカ帝国の仲間たちと観に行ったのだった。その中の一人が、日本プログレッシブ・ロック・バンドの「新月」のボーカル、北山真だ。「第49回 日本のプログレッシブ・ロック・バンド 新月との出会い」で紹介しているので、読んでほしい。

 新月を出た北山が、去年の8月に新譜を出した。『冷凍睡眠 COLD SLEEP』北山 真 with 真○日(シンジツ) だ。こちらも聴いてほしい。ちなみに新月は、「新○月」と表記するのが正しいようだ。

 デビッド・ボウイは、ミック・ジャガー、ビング・クロスビー、ティナ・ターナー、クイーン、ピンク・フロイドなど、さまざまなアーティストとも共演し、わたしを楽しませてくれた。

 デビッド・ボウイ、ありがとう。あなたのおかげで、たくさん、楽しい時間を過ごすことができました。感謝です。 [次回1/27(水)更新予定]

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