政府はマイナンバーカード普及策としてすでに1兆1700億円もの税金を使っている。写真はイメージ

識者は「マイナンバーの一本化」に危惧

 とはいえ、疑問なのは、なぜICチップによる本人確認がマイナンバーカードに限定されているのか、ということだろう。

運転免許証も2007年から段階的にICチップ機能付きの運転免許証が導入されている。その背景には、精巧な偽造免許証が増えたことがある。偽造免許証で他人名義の口座開設や携帯電話の契約を行い、振り込め詐欺などに不正に使用されていたことから、警察庁は導入を急いだという経緯がある。

 そうであれば、2022年12月時点で約8200万人が取得済みとされる運転免許証で本人確認をすることが、詐欺防止の観点からも理にかなっていると考えるのが普通だろう。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう指摘する。

「運転免許証にもICチップが入っているのだから、それを読み取ることを義務付けたらいいだけのことです。iPhoneからでも読み取りは可能です。政府はマイナンバーカードのICチップを読み取る専用アプリを開発するとのことですが、そうなると導入まで時間もかかります。それまで詐欺被害を野放しにするつもりでしょうか。マイナンバーカードを普及させるために、政府はすでに1兆1700億円もの税金を使っています。それなのに、マイナンバーカードのICチップを読み取る機械の普及や偽造防止などの対策すら追いついていないのが現状です。政府の行き過ぎたマイナンバーカード普及策に国民は振り回されています」

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デジ庁は「政府の伝え方が悪かった」