「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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5月、経団連が主催する「女性エグゼクティブ・ネットワーク」の「第30回リーダーシップ・メンター・プログラム」に参加しました。
女性エグゼクティブ・ネットワークはウーマノミクスの気運の高まりで企業各社に生まれた女性役員を支援する目的で、2015年に経団連が立ち上げた会。私はメンターとして出席しました。
参加されたのは約70人の女性の役員の方たち。その前に男性の私一人で壇上に立つと、「マイノリティーでいること」はこういうことだなと、あらためて実感できます。
私は幼稚園から大学まで共学の環境で育ち、三菱商事に入ってからも広報部や秘書室など比較的女性が多い職場環境でした。ローソンでも2024年度から新たに3人の女性が理事執行役員として活躍してくれています。
ただ、役員に占める女性の割合は国内の多くの企業で低いまま。そのジェンダーギャップはさらに解消していかなければなりません。そのうち、今回のような会が作られなくても、横を向けば女性も男性も、いろんなジェンダーの方がいて、それぞれが自然に活躍する。そんな社会が見えてくればいいなと思います。
当日は私の経験から、「ピンチはチャンスだ」という話などをしました。皆さん真摯に聴いてくださり、質疑応答も時間が足りなくなるくらいでメールで追加質問を頂いたりもしました。たとえば私たちは「ローソンWAY」という指針の中で「アイデアを声に出して、行動しよう」と掲げているのですが、それについて「実際に施策としてどのように推進されているのか」など、具体的な実行の術を課題にされているところはとても印象に残りました。
自分はここまでポジティブに、何かを得ようとしているか。初心に帰って、何事にも取り組まなければという思いを新たにしました。
※AERA 2024年6月17日号