SBI証券と楽天証券それぞれの「つみたて設定件数ベスト10」も紹介する(下の画像参照)。この2社は、新NISAが盛り上がりはじめてから「自社でしか買えない投信」を増やしている。囲い込みの一環だろう。
インデックス型が上位を占める中、目を引くのは14位の「ひふみプラス」で純資産総額は約6000億円。2012年設定の老舗、日本株メインのアクティブ型だ。
「オールドファンが多い投信です。全世界株式だと日本株は5%程度しか入っていませんので、それにプラスする形でこうした日本株投信を買うのもいい」
一物二価に注意
上原さんはビギナー向けに注意点をアドバイスしてくれた。
「たとえば『キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)』は信託報酬1.085%、『キャピタル世界株式ファンド』は同1.701%。この2本、中身は同じですがNISAの制度変更により図らずも『一物二価』になっています。
有名どころではSlimではない『eMAXIS』にも中身が同じで信託報酬だけ違うものがあります。間違えないように注意しましょう」
それにしても、競争激化で下がるところまで下がった信託報酬。本音ではどう思っているのか。
「低コストを求めるユーザーに応えたいという気持ちはある。でも、ある程度の信託報酬を取る代わりに成績はインデックス型投信を長期で上回る投信が増えてほしい。投資家もうれしい、金融機関も少し潤うというのがあるべき姿の一つ。なかなか難しいことですが」
取材・文/向井翔太、中島晶子(AERA編集部)
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編集/綾小路麗香、伊藤忍
※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋