さて、今回ヒアリングをして興味深かったのは、テルハラの被害者だとされている新人・若手から「電話対応は不快・苦痛だが、ハラスメントではない」とする声を多く聞いたことです。
「電話で話すのは子どもの頃から苦手です。今も外部からのクレーム電話に対応するのは苦痛です。でも、苦痛に感じたらなんでもハラスメントになるんですかね。電話対応をちゃんとやったら次はこの仕事ってステップアップしていったので、不満はありませんよ」(20代男性)
「テルハラだと騒ぐ人は、『暇そうにしているオジサンだっているのに、どうして私なの?』と不満なんでしょうね。でも、それを言ったら、他の仕事だって給料だって年功序列的な要素が多々あるわけです。不公平ですが、ハラスメントだとは思いません」(20代女性)
ちなみに、新入社員教育を主催する人事部門の担当者に意見を聞いたところ、テルハラを問題視しておらず、むしろ電話対応を重視している様子がうかがえました。
「近年フリーアドレスや在宅の促進で固定電話にかかってくる電話が減って、しかも営業電話ばかり。こうした事情から、電話対応の訓練を新入社員教育から外すことも検討しましたが、今年も実施します。新入社員に聞くと、結構『電話を取るの頑張ってます!』という前向きな声が多いですし、仕事や関係者を知るうえで重要な業務だと考えます」(素材メーカー・人事部門)
テルハラは日本独特の問題
では、テルハラ問題は今後どうなるのでしょうか。このことを考察するため、まず諸外国の状況を確認しましょう。
筆者の知る限り、日本以外の国では、テルハラという言葉はありません。そもそも無理やり電話対応をさせられた、という問題自体が存在しないはずです。なぜなら、日本以外では、誰かの代わりに電話したり、自分以外にかかってきた電話に対応するといった習慣がないからです。