ラッパー Awich(写真:オフィシャル提供)

 日本のヒップホップシーンを率いる女性ラッパーとして一気にトップに上りつめ、ジャンルを超えて縦横無尽に連携する。目指すはグラミー賞だ。AERA 2024年3月11日号より。

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 スタジオに現れた“女王”は、ステージで見せる堂々としたカッコよさに、柔らかな雰囲気をまとっていた。撮影する蜷川実花に「しなやかで強くて芯があるイメージで」と伝えられると、視線がふと優しくなる。撮影終了の合図に「ありがとうございます」と、生まれ育った沖縄訛りのイントネーションではにかんだ。

 本名の亜希子を直訳したAsia、Wish、Childから「Awich」と名乗り、デビューしたのは18年前。19歳のときだった。その後、留学先で出会った米国人男性との結婚、出産、そして夫の死という悲劇を乗り越え、10年以上の空白期間を経てメジャーデビュー。アルバム「Queendom」で若い世代を中心に人気を集め、わずか3年でアリーナでの単独ライブを完売させるまでになった。

 海外にも活動を広げるなど、今や名実ともに“女王”と呼ばれる存在だ。

AERA 2024年3月11日号より

「Awichがきっかけで新時代が来た!となったら面白いし、今は、カルチャーや沖縄の若い人たちの意識が変わっていったり、日本の女性たちが活発になっていったり、変化を感じるのが楽しい」

 日本語と英語、ウチナーグチ(沖縄の言葉)を自在に行き来するリリックで、次に目指すのは米グラミー賞だと公言する。

 新しいアルバム「THE UNION」に込めたのは「自分が自分らしくいること、弱さも強さもさらけ出すこと。そして相手にもそれを許すこと」だ。女性ラッパーのほか、お笑い芸人のゆりやんレトリィバァや歌手・AI、自身のルーツである沖縄のアーティストたちとも連帯する。王国の新たな展開が始まろうとしている。(朝日新聞出版・金城珠代)

AERA 2024年3月11日号