河村市長が指摘する“政治とカネ”の問題というのは、今回の問題とどう関連するのだろうか。その点についてAさんは、

「教員になって20代後半か30代前半になると、組合関係の役職がまわってきます。そこで組合が応援している市議、県議、参院議員の選挙の手伝いをしないかと相談を持ちかけられます」

 と説明する。手伝いの具体的な内容については、

「選挙事務所に行って、電話をかけたり、推薦はがきを書いたりします。私もやりました。それをすると、やがて教務主任になる道が開けます。ある程度の年次になれば、やはりなりたいと思うので、入っている団体の一つ、大学のOB会に推薦状をお願いしました。すると、ある国会議員のパーティー券、1万円を買って参加してくれときました。年間に千円だったかの会費か寄付かも必要となって、払いました。組合に入っていろいろやらないと出世できないというのが背景にあります」

 河村市長は、

教育委員会に上納されているカネが、私的に使われたのかどうかが非常に重要なポイントだ。上納されたカネが、教職員の組合が応援している議員の飲み代や帰りのタクシー代に使われているとか、年間の額は400万円くらいあったとか、幹部が現金を懐に入れていたといった情報もあった。徹底的に調べるし、調査の結果いかんでは市が刑事告訴することもやむなしだ」

 と語気を強めた。

 冒頭のリストには政治的な背景を持つような任意団体の名称も含まれる。名古屋市は、元文部官僚で京都芸術大学の寺脇研客員教授を座長に検証チームを立ち上げた。一方、愛知県警は市教委の幹部など関係者から話を聴いているようだ。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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