女性が外で顔を見せるのはタブー。物詣で神社を参拝する際は、女性たちは市女笠(いちめがさ)をかぶった

 大きい雪玉をつくる「雪遊び」も好まれ、『源氏物語』には、雪が降ったあとに雪玉を転がす貴族の姿が描かれている。とはいえ、彼らは宮仕えの身なので、遊ぶといってもほとんど遠出はできず、自分や友人の邸宅内や庭などで楽しんだという。

 一方、邸宅の中で過ごすことの多い貴族女性も、ただぼんやりと過ごしていたわけではない。床に広げた貝殻の美しさを競ったり、歌を詠み合ったりする「貝合(かいあわせ)」、好きな物語を読む「読書」など、屋内遊戯を友人や女房と楽しんでいた。

 女性にとっては、家を離れて寺院に参拝する「物詣(ものもうで)」も遊びの一つ。貴族女性にとって、遠出して寺院に向かうのは、参拝をかねた楽しい行楽だった。特に清水寺、石山寺、長谷寺などが人気があり、泊まり込みで、経文を声に出して読む「誦経(じゅきょう)」を行ったという。

 1000年前の平安貴族たちも、余暇を見つけて遊び、交流を深めていたのは現代と同じだった。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂 永井優希/イラスト 夏江まみ)

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