黒の締りが向上したバライタ紙
現在の写真製品にまつわる環境で、銀塩モノクロ印画紙の新製品が登場するのは奇跡といえる。多階調バライタ印画紙オリエンタル・ニューシーガルVC-FBIIIの改良版だ。サイバーグラフィックスによると、旧製品と比較して、深い黒の締まり、豊富な階調再現が特徴という。
今回、同じネガフィルムを使ってプリントし、新旧を比較した。印画紙の厚み、サーフェース(表面の質感)は旧製品と変わらないが、感度が高い。焼き込み、覆い焼きの時間をとるには絞りによる光量調整が必要になるだろう。階調は号数にして、旧製品より1/2号ほど硬調。フィルターでのコントロールは容易だが、特性を掌握するには慣れも必要だ。ハイライトの冴えは美しく、シャドーは墨の黒に近い。
新しい印画紙の登場は嬉しい。ただし、ユーザーの一番の望みは品質維持と安定供給。また高価なので、一考をお願いしたいところである。
◆ 赤城耕一
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●価格:オープン(実売 六切〈8×10インチ〉100枚入り 1万9980円、大四切〈11×14インチ〉50枚入り 1万9440円、大全紙〈20×24インチ〉10枚入り 1万7280円、ロール〈1.085×20m〉
1本 11万7342円)