占い師、作家 しいたけ.

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:人の失敗(怠惰を感じてしまう案件)を許すことができません。「起こったことはしょうがない」「イライラしている時間がもったいない」「自分も失敗しないわけではない」とわかっているのに、許すことができずイライラを引きずってしまいます。もっとご機嫌に、ゆるく、グレーゾーンを広く持って「怒り」と離れて生きていきたいです。どのような心持ちを心がけるといいでしょうか。(女性/陶芸関係/33歳/おとめ座)

A:ご相談者さんが抱えている怒りは、他人のだらしなさのようなものに対する不潔感に近い気がしました。どうしてここに注意を払わないのかとか、なぜできない約束をするのかとか、そういう類いの怒り。そして、怒りと衛生観念って実はすごくリンクしているなと感じます。

 衛生観念は個人差があるものです。例えば1日着た洋服を洗濯するかどうかとか、掃除の頻度とか。

「それぐらいで怒らなくても」と、「まだ別に掃除しなくていいじゃん」は、どこか似ているように思います。

 きれい好きな人が怒りっぽいとか、そういうことを言っているわけではないんです。清潔な人に「もっと汚れに寛容になりましょう」と言ってもそれは難しいと思います。

 少し話が変わりますが、僕はSNSなどで「他人に対して厳しい人」を見つけるとつい注目してしまいます。

 以前、そういう人がXにいたんですが、あるときその人が自分の幼少期の写真を投稿して、それに対してツッコミを入れていました。かわいらしい写真なのに、ポーズの取り方が甘いとか、なにやら厳しく怒っていて。

 直感的に「この人は全然自分のことを許していないんだな」と感じました。何か自分の理想像があって、それが実現できていない自分に対して怒りを感じてしまう。自分に対しての怒りが強くあると、周囲に対しても怒りを感じてしまいがち。考えてみると、他人に厳しい人で自分に対して厳しくない人って、僕はあまり会ったことがありません。

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しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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